[書評]仕事脳を強化する記憶HACKS(ハック)

僕は基本的に「メモ・ノートを全てデジタル化」することに対して懐疑的なモノの見方をしている。発想すること、頭の整理をすることに関しては手書きの方が優れていると思うし、いつもPCやケータイが使えるわけではなく、特に企業の情報セキュリティが厳しくなってきている昨今では、企業が自前で用意したシステム以外のデジタルツールは使用できないことが多い。
そういう意味で、本書が自分の考えとは違う方向を向いていことは読む前からある程度検討はついていた。
それでもこの本を読んだのには2つの理由がある。
一つは、僕の中で大きなテーマとなっている「ITツールは人間の脳を拡張する存在となり得る」前提の元に書かれているということ。その外部脳とも言えるITツールに対し、如何にして情報を蓄積し、取り出すのか?どこまでを自分の脳に蓄積し、どこからをITに頼るべきなのか?を知ることができればと思っていた。
もう一つは自分が知らない未知なるITツールと、その使い方に出会えるかも知れないという超個人的な欲求。特に佐々木 正悟氏の専門である心理学や脳科学の分野からそれらをどう捉え、どう使うのかという点に強く興味を抱いたのだ。
結論としては、本書は僕の期待をある程度は充足してくれた。ただ、読後感としては書かれている内容そのものは表層的なのだ。一番残念だったことは、この本で説明される使用方法がざっとした紹介に留まっており、モデル化→自分なりのやり方に応用することが難しい点である。
ビジネス書250ページ足らずの中でITツールをあれやこれや紹介し、氏なりの使い方を説明し、更にそれらを補足する心理学/脳科学の見地からの意見をコラム的に掲載する場合、表層的になってしまうことは致し方ないことだとも思う。故に、タスク管理、スケジュール管理、メモ、学習、情報整理、アイデア・・・これら取り上げられたテーマ一つ一つに対して一冊の本を書いてもいいんじゃないかと思う。むしろ、Evernoteのメモ術本(Evernoteの使い方ではなく、Evernoteを外部脳とするための運用フロー本)なんかが出た日には、僕は必ず買う。3000円でも買う・・・・とおもう。
何はともあれ、この本そのものは凄く良い本なんだし、扱っているテーマは実に興味深い(というか、今までにないアプローチの)モノなのだけど、やっぱりこれでは入門書なのだ。もっと先を読みたいし、もっと深く知りたい。出版社の技術評論社及び著者の佐々木氏には、「記憶Hacks!○○編」のシリーズ化を強く希望する!

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