取り柄のない中途半端な凡人だけど、それでも懸命に生きている

才能があったならばと思う。或いはその才能を凌駕するほどの努力を重ねられる人間であったならばよかったのにと怠惰な自分に辟易する。

頑張らなければと思う気持ちとは裏腹に、何も出来ていない日々が過ぎていく。あの人はあんなに凄いのに、自分はといえば何の取り柄もなく、道に惑い、努力も怠り、何事も継続せず、何事も為さずに年ばかりを重ねていることに陰鬱な気持ちに襲われる。

自分の進むべき道が決まっていて、それに全力で打ち込んでいる人が羨ましい。何事もスマートにこなし、圧倒的な成果を挙げられる人になりたかった。知識博学で思慮深く、新たな洞察を周囲に与えられる人には到底なれそうもない。

この様な認識はいわゆる「隣の芝生は青い」というヤツなのかもしれない。他人の心の内は分からないし、表に見えてこないだけで実情は似たり寄ったりだったりするのかもしれない。実際の所は分からないけれど、自分の中には明確に「あちら側の人間ではない」という確信じみたものがある。

今の自分が持っているモノを大切にする

一昔前の自分なら「だからもっと頑張らなければいけない」という結論になっていたのだと思うが、年を重ねて「将来の伸びしろ」に期待を抱けなくなった今は考え方に変化が生まれている。

それは言うなれば「凡人の生きる道」ともいうべきもので、モブにはモブなりの生き様があるってことをむしろ胸張っていこうというある種の開き直りである。

仕事があって食うに事欠かず、家族に恵まれ、両親親族も大過なく過ごせており、細々とでも自分の発信する情報を受け取ってくれる人もいる。一時は精神的に追い詰められもしたが、その嵐も今は過ぎ去り平穏な日々を生きている。

今自分が持っているモノは、凡庸たる自分には過分なぐらいで、既に100点満点である。ここに他人から認められる成果だ社会的な名声だなどをない物ねだりするなど欲のかきすぎで、そういうモノを目指さなければいけないと思うこと自体一種の「自己啓発の罠」であると思う。

まずは今持っているモノを大切にする。それ以上の成果や名声は加点のようなものであればラッキー、無くて元々と思えば良い。

むしろ泥臭く懸命に生きる様をオープンにしていきたい

残念ながらスマートに物事を進められる人間にはなれなかったけれど、七転八倒しながら泥臭くここまで生き抜いてくることができた。広く遍くではないけれど、一部のニッチな領域では社会に求められる知識と経験を積み重ねることができた。

徹夜休出も山ほどしたし、血を吐くんじゃないかと思うほど追い詰められたこともあった。自分が戦略的にキャリアを考えたというよりも、その時々で振り落とされまいと必死で食らいついて行った結果として今の自分ができあがった。

辛い状況や胸の内、或いはうつ病になって休職したことなどを表にだすことなく、ブログやYoutube等の情報発信をする道もあったと思うけど、そういう取り繕った偽物の自分の言葉に重みを持たせられるほどの才能は自分には無かった。

悩み、惑い、泥臭い生き方しかできない凡庸な自分だけど、それでも懸命に生きている。圧倒的成果も知名度も無いけれど、家族や友人、仕事仲間のために毎日頑張って生きている。

筋書きとしては平凡で、読み物としてはつまらない。劇的展開も唸るような考察も、パラダイムシフトが起こるような衝撃も提供できそうにない。夢を叶える方法も、デキる人になる方法も僕には分からない。

それでも、本当に凄い人と取り繕われた凄く見えるだけの人が紡ぎ出す「Perfect World」の中に、凡人が泥臭く懸命に生きていく「Real World」を放り込むのも悪くはないと思う。というか、それこそが自分の様な凡人が情報発信をすることの意義ですらあると感じている。

さいごに

こと情報発信に関して言えば、果たして自分のやっていることにどれ程の価値があるだろうかと不安に思うこともある。それでも時折YoutubeやTwiter（現：X）で頂けるフィードバックで「無駄では無かった」ことが分かり、続ける勇気を頂いている。

今でも「あちら側の人」をうらやむ気持ちがないと言えば嘘になるが、若い頃よりは随分と開き直って「凡人の生き様」を誇れるようになった様に思う。

他には何も出来ないだけだけど、今後とも泥臭く懸命に生きて、それを言葉に載せて発信していこうと思う。誰かの役には立てなくても、誰かの安心材料ぐらいにはなれると信じて。

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