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iPhone4Sの回線をauかSoftbankかお悩みの方へ

10月7日にiPhone4Sの予約が開始しました。

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僕も先ほどSoftbankのオンラインショップで予約してきました。

せっかくauも出るのでauへの乗り換えも検討したのですが、色々考えた末にSoftbankに留まることにしました。いくつか要因があるのですが、かいつまんで言うとだいたい次の通り

  • Softbankの方が月々の使用料が安い(500円ぐらいだけど)
  • メールアドレス(@softbank.ne.jp)が変わるのが嫌だった
  • SMSとMMSが来年1月まで使えないのは微妙だった(※追記あり)
  • 僕の周りはソフトバンクユーザ(タダトモ)が多かった
  • 別に言うほどSoftbankの電波状況に不満がなかった
  • Softbankのビジネスモデルを丸パクしたauが今一好きになれなかった
  • 「新800Mhz問題」を棚上げして「つながる」を連呼するauが今一好きになれなかった
  • 今まで散々「Android au」でiPhoneを攻撃していたauが今一好きになれなかった

今回Softbankをチョイスした人は概ね「Softbankの方が安い」「メアドが変わらない」「auはしばらくSMSとMMSが使えない」といった理由でSoftbankを継続することに決めたのではないかと思います。

※2011/10/9 追記
多くの方から「auでもMMS/SMS」が使えるとコメント頂きました。「iPhone争奪戦の舞台裏 孫氏も世界の流れに勝てず KDDIには難路も :日本経済新聞」や「マルチメディアメッセージングサービス – Wikipedia」にあるとおり、auは現時点では標準化団体の3GPPやOMAで標準化されたMMS/SMSを持っておらず2012年1月からサービスがはじまる予定でした。

よって、iPhoneのMMS/SMSが使えないとジャッジしていたのですが、実現方法の詳細はさておき、リリース時にサービスとして「SMS(i)」及び「EZwebメール」が使えるという情報もありましたので(参考:au、「iPhone 4S」の予約を7日開始、価格も明らかに – ケータイ Watch )、本記事に書いてある「auはMMS/SMSは使えない」は訂正したいと思います。不確定な情報を書いてしまい申し訳ありませんでした。

その他の理由はまぁ、僕の感情論ですのであまりお気になさらず。auのやり方が気にくわないというのもあるし、かつてSoftbankがiPhoneに様々な機能を付け加えてくれるようAppleに働きかけてくれたことや、他社に先行して比較的安価な今のスマートフォンの料金体系を築いてくれた所などに好感を持っているというのもあります。

ということで・・僕の主観に満ちた判断基準はさておき、今現在auかSoftbankどちらにしようかお悩みの方にモバイル業界で働く人間としてなるだけ間違いのない客観的ないくつか判断材料となるデータを提供したいと思います。価格差やMMS/SMSについては上に書いたとおりなので、この記事ではエリアや速度周りについて突っ込んで書いてみたいと思います。

※2011/10/9 追記

ちなみに、ここまでの見出しでauのネガキャンみたいに読めてしまいますが、私自身元auユーザとしてau自体にはとても愛着があります。また、auがiPhone4Sを発売すること自体はとても歓迎で、ユーザの選択肢が広がり、健全な競争モデルが生まれれば素敵だなと思っていました。
ただ、かつてのEMOBILEがやっていたような露骨なSoftbank叩きをしていることや、Softbankのビジネスモデルをそのままぱくったことだけが本当に残念でならないのです。上記判断基準に感情論が入ってしまい申し訳ありません。

■新800Mhz問題はほぼ解消しているが、地方では注意が必要

既に各所で語られているのでご存知の方も多いと思いますが、かつてドコモやauでは800Mhzの周波数帯の上りと下りの使い方が世界と逆になっていたためグローバルから調達してきた端末がそのまま使えないという問題がありました。(Softbankは800Mhz帯を割り当てられていない)これを再編して世界と同じ使い方に直したのが「新800Mhz」です。

ドコモは既にサービスを終了したmovaがそれにあたり、現在運用しているFOMAプラスエリアでは既に新800Mhzが用いられています。ただ、ドコモの場合、800Mhzは山間部のエリア補完や都市部の電波が届きにくい場所への対策として用いられており、それ以外の人口の大部分をカバーするサービスエリアでは2Ghz帯での運用が為されています。

auも以前よりは2Ghzでの運用も増えているものの、こちらの記事にもあるとおりかつては800Mhzで3Gサービスを本格的に展開していました。そういう経緯もあって、今年のはじめにauと同じ通信方式であるCDMA2000を採用する米ベライゾン向けのiPhone4が発売されたときも「auで出たとしても新800Mhzの切り替えが終わるまでは使えないエリアが多い」と言われていました。ただ、旧800Mhzは2012年7月で使用期限が切れるため恐らくは新800Mhzへの切り替えはほぼ完了しているものと思われます。

2011年10月現在のauのサービスエリアマップの注釈を読む限りでは、緑色と黄色以外の箇所で2Ghzもしくは新800Mhzのサービスが行われているようです。つまり、都市部の方であればiPhone4Sの利用に際して大きな問題が出ることはないと思われます。

エリアマップ | サービスエリア | au by KDDI

ただ、地方にお住まいの方は注意が必要です。以下は長野県や群馬のサービスエリアマップですが、結構緑や黄色のiPhone4Sが使えないエリアが見られます。勿論、こういったエリアでSoftbankが使えるとは限りませんので「Softbankの方がエリアが広い」ということにはなりませんが、auにもiPhone4Sをはじめとしたグローバル機は使えないエリアがあるということを知っておいた方が良いでしょう。

エリアマップ | サービスエリア | au by KDDI 1

■auとSoftbankって正直どっちが速い?

今回のiPhone4Sでは以下の通信方式を持っています

  • UMTS/HSDPA/HSUPA(850、900、1,900、2,100MHz)
  • GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)
  • CDMA EV-DO Rev. A(800、2,100MHz)

真ん中のGSMについては海外のローミングで電話ができますぐらいにお考え頂ければOKですが、1つめがドコモやSoftbankが採用する「W-CDMA」の規格、3つめがauが採用する「CDMA2000」の規格です。よく見かける比較表で言うと

  • au(EV-DO Rev.A):3.1Mbps
  • Softbank(HSDPA):14.4Mbps

というやつです。これは端末側の性能であって、基地局側もこの規格に対応している必要があるのでこれだけで「Softbankの方が速い」とはいえない点にはご注意頂きたいと思います。また、電波強度であったり、モバイルバックホール、コアネットワーク、POI(Point Of Interface:相互接続点)の回線容量など様々な要因で回線速度は変化します。

基地局の対応状況で言えば、auのEV-DO Rev.Aの人口カバー率は見つけられませんでしたが、EV-DO Rev.0(下り2.4Mbps)の人口カバー率は99.9%を達成しています。(参考→http://www.kddi.com/corporate/news_release/2008/0317/

Softbankは2009年3月期末でHSDPAの人口カバー率を70%(実質的には80%)であると決算説明会の質疑応答で応えています。(参考→http://www.softbank.co.jp/ja/irinfo/library/presentation/presentation_review/2008/20080805_01

上記のデータだけを見れば、日本全国で平均すれば、auの方が速い可能性が高いと言えそうです。ただ、SoftbankのHSDPA(カテゴリ10)対応の基地局のエリア(主に都市部)であれば、Softbankの方が速度が速くなる可能性が高いです。

「全国的に平均して速いau、都市部など局所的に速いSoftbank」

と捉えて頂ければ概ね間違いはないと思います。ただし、これは無線区間の話・・実際はモバイルバックホール、コアネットワーク、POIの回線容量がしょぼければ如何に無線区間が速くても速度はでない点は留意しておく必要がありそうです。

ちなみに、携帯・PHS関連@Wiki – 携帯電話基地局免許数(平成23年9月3日現在) によると

  • ドコモの新800Mhz局:49213
  • ドコモの2Mhz局: 51637
  • auの新800Mhz局:29915(旧をあわすと47131
  • auの2Ghz局: 13780
  • Softbankの2Ghz局:125551

この局数にはマクロセルと呼ばれる大出力局もあれば、マイクロセルと呼ばれる低出力局も含まれます。Softbankの局数が多く見えるのも、直進性が高くビルの影や屋内への到達性が難しい2Ghz帯でしかサービスエリアを形成できないSoftbankがマイクロセルを大量に打ってマクロセルの不感地をカバーしていることが要因と考えられます。(参考→電波改善進行中 | ソフトバンクモバイル

一般的にマイクロセルで細かくエリアを形成した方が、基地局1つあたりの負荷(呼処理と回線速度)を分散することができますので、この調子でSoftbankが基地局を打っていけば(設備投資費はかかりますが)Softbankの無線区間における回線速度は今より格段に向上する可能性があります。(実際にはセルエッジを解消する技術なんかも必要なんですが、そういうのに興味がある人は直接お話ししましょうw)

ちなみに、実測値という意味では以下の調査結果も非常に興味深いです。

首都圏、地方主要都市ともにスマートフォン3G回線スピードは auがdocomo、SoftBankを押さえて首位に さらにWiMAXは3G回線に比べ圧倒的な速さ スマートフォンもWiMAXに利あり |株式会社アップデイトのプレスリリース

※2011/10/9 追記
多くの方から「地方だとSoftbankつながらねーよ」というご意見頂きました。実際私の住んでるあたりでも、地上駅のホームが県外になるなど、不感地が多いのは事実だと思います。
ソースがあるわけではないのですが、au/Softbankと渡り歩いてきた人間として個人的な見解を述べておくと、おしなべて見れば、全国的にカバーエリアが広くスポット的な不感地が少なく、平均的に速度が出るのはauの方ではないかと思います。ただ、本記事の主旨は「Softbankだからだめ、auだから良い」という思い込みを無くしてちゃんと自分の住んでいる場所や生活圏にマッチしたキャリアを選んで欲しいというものですので、その点ご留意頂ければ幸いです。

ということで、とりとめもなく書いてしまいましたが、一つ重要な事実としてiPhone4Sが

  • au(EV-DO Rev.A):3.1Mbps
  • Softbank(HSDPA) :14.4Mbps

という仕様であることはもう変えられない点はご留意頂きたいと思います。現時点でauの方が速度がでる可能性が、将来的にSoftbankがHSDPA(カテゴリ10)対応の基地局を増やしたり、各種回線容量を向上させることで結果が変わってくる可能性もあり得ます。ここ数年の設備投資の仕方や、データオフロードの施策を見る限りでも、Softbankのカバーエリア拡大や回線速度向上がなされる見込みは高いのではないかと思いますので、Softbankのがんばりに期待したいと思います。(※2011/10/9 一部変更)

■まとめ

ここまで書いた内容が今一パリッと「どちらがいい」と言い切れなかったのは、実際には人によってSoftbankの方がつながりやすくて速い場合もあれば、auの方がつながりやすくて速い場合もあるからです。

じゃぁなんでこんな記事を書いたかというと、auのCMなどで暗に「電波はつながる方が良い」という触れ込みで他社に比べてつながりにくい印象を持たれているSoftbankを攻撃していたり、何となく雰囲気で「auの方が電波が良い」と思ってしまう人が多い印象を受ける場面に多々遭遇したからです。

iPhone4Sの回線をauかSoftbankのどちらにしようか迷われている方は「auだから電波がいい、Softbankだから電波が悪い」と決めてかからず、自分の住んでいる場所や職場での各社のサービス提供状況をよく調査されることをおすすめいたします!

    4 COMMENTS

    B-CHAN

    感情的な部分を入れると、それを嫌悪する人もいるでしょうから、感情を極力排除したドライな文章も書いてみました。
    「いろんな噂があってSoftBankとauとで本当はどっちの電波が良いのかわからない皆さんへ、最良の判断方法を書きます」 http://d.hatena.ne.jp/B-CHAN/20111009/1318114791 何度もスミマセン。この問題、面白いもので(^ ^)

    Masamori Ono

    WiFiの接続で考えたとき、どっちの方がメリットが高いのでしょうね?
    ま、そんなこと考えずにSBMで継続しましたけど。

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