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「N-06A」と「931N」、そして「ホームU値下げ」に見るHGWサービスの黎明

■なかなか立ち上がらないHGWサービス
ケータイ業界では以前よりホームゲートウェイサービス(以下HGW)というものが取り沙汰されてきた。(ホームサーバといったり、ホームゲートウェイといったり色々なのだが・・・)ホームゲートウェイとはその名の通り、家庭内のネットワークの入り口という意味であり、もう少し正確に言えば、家庭内の様々なネットワークを統合するポイント、である。
様々なネットワークというのうは、

  • 家庭内LAN(TCP/IP)
  • デジタル家電を結ぶNW(DLNAなど)
  • 白物家電を結ぶNW(ECHONETなど)
  • センサNW(Zigbeeなど)
  • インターネット(外部へのヌケ口)

提唱されているNWの物理形状は多種多様なのだが、実際に家庭内で構築されるNWはほぼ有線/無線LANのみである。その上を様々なプロトコルが走ることになるのだが、その変換/接続を行うのがHGWである。(HGWにアプリを載せてサービス提供するものがホームサーバ。)
狭義で言えば、無線LANルータなどは将にHGWなのだが、残念ながら無線LANルータ自身に所謂ホームネットワークのプロトコル変換の仕組みまではない。
例えば、HGWだとどんなサービスができるかというと

  • 出先から家のDVDレコーダを操作してビデオ予約をする
  • 窓ガラスにつけたセンサが侵入者をケータイにお知らせしてくれる
  • 外では3G無線、家の中では無線LAN経由で電話/パケット通信ができる

などなど。まぁ、実際現時点で結構それぞれ単独のサービスとしては提供されていたりするものなので、目新しさはないかもしれない。三つ目のサービスなどはFMC(Fixed Mobile Convergence)FMS(Fixed Mobile Substitution)等と言われている、固定と移動の通信を融合(もしくは置き換え)の動きのことである。
■docomoのHGW戦略!?
で、前口上が長くなったんだけど、今回のdocomoとsoftbankの発表した無線LAN対応製品とそれに付随するサービスを見ることで、日本のHGWサービスの未来が占えそうなのである。
まず、ドコモは”Onephone”N906iLに追加して今回WLAN対応機種N-06Aを投入。それに併せてホームUサービスの値下げを行った。ホームUサービスとは、N-06Aを使って家庭内の無線LAN経由で電話をすれば”050”のIP電話の料金、パケット通信をすれば無料にしますよーというサービスである。


ちなみに、あまり知られていない話であるが、ワンナンバーというオプションに申し込めば、実は家庭内LAN経由であっても090/080のケータイ番号で発着信が可能となる。また、ホームU同士の通話は無料になるため、長電話が大好きな奥様(別に旦那方でもOK)は家計節約の為にホームUをそれぞれ申し込むなんてこともありかもしれない。
ホームUの料金が480円/月に下がったことは、普及に一定の効果を示せるかも知れないが・・・やはり一般家庭にIPセントレックスの考え方を持って行くことは難しい。せめて代表番号の”050”を無線LAN圏内の端末全てにお知らせするぐらいの機能は欲しいところだし、ダミーでもいいから固定機があって、ケータイは子機になりますよーという形の方がわかりやすいと思う。何よりも端末のラインナップが少なすぎる。
実はドコモにはもう一つ「ポケットU」というサービスがある。これは、ドコモとしては超野心的なHGWサービスで、3Gのケータイ網を抜けて自宅のPCにVPN接続を行い、その中のファイルを操作したり、PC経由で家電を操作したりできる代物である。こいつの価格が500円/月
つまり、ホームU(家庭内HGWサービス)+ポケットU(家庭外HGWサービス)があわせて980円/月という戦略的な価格になったことを意味する。もしこの状況でポケットUが動作可能な無線LANルータを開発、投入した場合、それはまさにHGWと呼ぶにふさわしいものなのではないだろうか?
■Softbankの戦略的FMC/FMS
対してSoftbankはどうかというと・・・


実は、この端末自体、HGWサービスがどうこうという代物ではない。どちらかと言えば、iPhoneと同じように、「ケータイ無線LAN」サービスに申し込めば無料でBB!モバイルポイントが使えるようになることだろう。無線LANから接続する場合であっても、Yahoo!モバイルコンテンツやソフトバンク公式メニューの利用が可能である。もちろん、フルブラウザの通信であっても、無線LANからの接続であれば無料となる。
Softbankとしては自社網の負担を減らす為にWifiから固定網へとトラヒックを逃がそうという意図が見えてくる。これ自体はHGWサービスとは全く関係ないのだが、2009年中に登場が予想されるフェムトセルにはADSLの口があるだとか、無線LANが使えるだとか、ホームサーバにしたいと宮川CTOがおっしゃられているなど、様々な噂・情報が流れている。つまり、フェムトセルがHGWとなる可能性が高いのである。
SoftbankはIMS型フェムトなので、Wi-fi経由で固定網を抜けてこのIMS網に抜けさえすれば、実は末端のエアー部分が無線LANだろうがフェムト(3G)だろうが関係なく収容することができるはずである。(詳しくは機会があったら書きます ^^;)
家ではフェムトセルor無線LANルータからIMS網に接続し、外ではホットスポットからIMS網に接続することが出来るようになるかもしれないのだ。もしも、マクドナルドでならSoftbankのケータイからの電話がタダになる・・・というのであれば、Softbankユーザは喜んでマクドナルドに行くだろう。そんな流れができてくれば、BB!モバイルポイントを導入する店舗なども増え、Yahoo!BB側の収益に貢献するだろうし、Softbankのサービスにも価値が出てくるだろう。
Softbankはケータイ事業だけで儲けなくても、固定網やYahoo!といったISP事業で儲けが出せれば良いのである。そこがNTT法に縛られるdocomoとの圧倒的な差であるし、固定網を持つKDDIに対しても、Softbankの持つ強力なコンテンツは十分に強みとなるのである。
・・・ま、あくまで想像でしかないんだけど、これまでFMC/FMSはフェムトセルで!と息巻いてきたSoftbankがここにきて無線LAN対応機を投入してきた背景には、もう少し遠大なサービスがあるのではないかと考えてみたくもなるのである。フェムト用のIMS網をIPセントレックス向けにも使用すると考えるのは、あながち間違いではないと思うし、恐らくはYahoo!BBのIPコア網も、IMS網と統合していくだろうからね。
ってなことで、何だか長くなりましたが・・・去年ぐらいからあまり日の目を見ない「ホームU」「ポケットU」、両社の「無線LAN機」やソフトバンクが今後出して来るであろう「フェムトセル」など、ちょびっとでも興味を持って貰えたならこれ幸い。

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