かつてワクワクドキドキしながら手に取っていたビジネス書。
そこに書かれている事はとても新鮮で面白く、本から学びつづけることで、自分の世界はどこまでも拡がっていき、いつかは自分もデキる人になれるのだと夢見ていた。
しかしながら、様々な本を読み、学び、社会に揉まれる中で、悲しいことに本に対するトキメキは徐々に色褪せていった。理由の半分はビジネス書に対する飽き、もう半分はデキる人になれなかった自分への失望。
「一冊からもっと学べる エモーショナル・リーディングのすすめ」を読み進める内に、どこか諦めにも似た感情を抱いている、冷め切った自分の存在に気づかされ、冷めていた事にすら気づけていなかった事に愕然とした。
■あの頃抱いた想いは幻想か?
仕事で追い詰められていた数年前の僕は、限られた時間と資金の中で数冊の書籍を手に取り、必死で自分なりの仕事術を築いていた。苦しかったけれど、同時に本と真剣に向き合うその時間が、とても豊かで満ち足りた物であったとも思う。
本来、学ぶことは楽しいことです。わからなかったことが理解できるようになる。できなかったことができるようになる。疑問に思っていたことの答えを知り、納得する。そうした体験をすると、人は大きな達成感や満足感を覚えます。 (P6)
宇宙語かと思ったシステム用語は、いつしか共通言語となった。できなかったことは、経験を積むにつれてできるようになった。職場で暗黙知となっていた”仕事術”は本から学び、ブログや勉強会でアウトプットを重ねることで、それなりに身につけることができた。その過程は、今にして想えばとても楽しい物だった。
残念ながら、本で読んだデキるビジネスパーソンにはなれなかったが、振り返ればそこには着実なる前進の跡が見える。その軌跡を目の当たりにして、どうしてあの頃抱いていた想いが幻想だなどと言えるだろうか。
■もっと素直に、もっと自由に
なるほど、最近本が雄弁に語らないと思ったら、読んでいる僕が斜に構えていたからか、と。
何冊読んだか、どれだけ美しくメモに残したか・・いつしか、そんな形式ばかりに気を取られ、本を愉しむという基本をすっかり疎かにしていた。偉そうに「この本はxxに書かれていることと同じだな」などと批評家を気取っていた自分が、何だかとても恥ずかしい。
読書とはもっと自由で、もっと楽しくて、人それぞれ「快」と感じる付き合い方があるもんだと思う。それに、自分が成長・変化すれば読むべき本も、本との付き合い方も変わっていくから、一概に「これが正解」って決めつける方が不自然。
本を読む中で、知的邂逅を果たし、少しずつ新しい世界を獲得する。グッとくるフレーズに感動したり、初めて知る事柄にワクワクしたり。学んだ知識をメモに残し、実践し、ブログや勉強会でアウトプットして、徐々に出来ることが増えていく。
そういう事を想像すると、目の前の本を手にとってページをめくるのがとても楽しみになる。ありきたりな言葉かも知れないけど、読書っていいもんだなって今は素直に思える。
■最後に
1700冊以上の本を読み、その魅力を新刊ラジオで伝えてきた”ブックナビゲーター矢島”さんがいつか通ってき道は、僕らが越えるべき壁、抜け出すべき落とし穴を実に的確に教えてくれる。
本書は読書がニガテという方は勿論、読書に冷めていると自分で感じている人にも是非お奨めしたい。きっと、読書を楽しいと感じていたあの頃のあなたにもう一度出会うことができるはずだ。
追伸:今回はちょっとエモーショナルな方に寄ってしまったので、本書の”読書術”的な部分は別記事に起こしたいと思います。
■お知らせ
次回(12/7)の東ラ研は、ブックナビゲーター矢島さんが講師です!
12月7日 東京ライフハック研究会Vol.14「アウトプット読書術」(東京都)
一週間後にプレゼン大会もやるので、興味があれば是非