去年の年末からつい最近まで、自分の仕事人生の中で過去最も過酷な日々を過ごした。
仕事量の多さに起因する勤務時間もさることながら、リーダーとして担当領域で発生した問題に対する責任であったり、チームメンバーに無理を言わなければいけない罪悪感、優先度を付けて諦めるという苦渋の決断など、はじめて経験する精神的なプレッシャーに幾度と無く押しつぶされそうになった。
正直、家に帰れないことより、心労で眠れない夜の方が余程辛い。何度も逃げ出したい欲求に駆られたが、リーダーである自分が諦めることは絶対にあってはならないことだと同時に自分を戒めた。
今回このプロジェクトではじめてリーダーというポジションについた。
正直、業務的にもわからないことだらけで、リーダーの経験も殆どなかった。しかしそんな事情など関係なく、自分はチームを任され、そのチームにはメンバーがアサインされているという事実があった。だから、次のことだけは絶対に守ろうと決めていた。
・メンバーに相談された時に「わからない」とは絶対言わない。
・どんなに辛くてもメンバーの前で逃げるそぶりは見せない。
・先が見えない状態でも「何とかするから」と自分という最終防衛ラインを示す。
僕には技術・マネジメントの両面で能力・経験が不足していた。それでも、解決の方策を共に考え決断し、責任を引き受け、不安を和らげ、希望を失わせない様に振る舞うことはできる。
100点満点では無かったかもしれないが、自分の持ち場は守りきったと思うし、メンバーに迷惑や苦労は掛けたとしても絶望や不安を与えることはなかったと思う。そして、何より僕自信が今回のヤマを生き抜くことができた。
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少し遅くなったが、先週自分の配下にいた3チーム十数名のメンバーと打ち上げを行った。まだまだこれから戦いは続くのだけど、一区切りを付け、お互い労いあう酒は格別に美味かった。
かなりヘビーな状況にもなったけど、それでも乗り越えられたのはメンバーの奮闘のおかげだ。特に年末年始からこの方、僕自身はほとんど「実作業」から遠ざかっていた。マネジメントと内外の調整、成果物のレビュー、発生した問題への対応、客先への提案・・これらに忙殺される間、メンバーは「実作業」をきちんとこなしてくれたからこそ、美味い酒を飲むことができた。
僕はこのことに、素直に感謝の意を述べた。
「皆さんのおかげでなんとか乗り切ることができ、感謝しています。今回僕の配下でなくなる人もいますが、僕はこの恩を忘れません。皆さんが困ったらいつでも皆さんの力になりたいと思っていますので、いつでも頼って下さい。」
酒に酔った勢いでなければ言えないくさいセリフかもしれない。しかし、例えビジネス上の付き合いだったとしても、縁あって同じ職場で共に戦った仲間に想いをどうしても伝えておきたかった。
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この数ヶ月、正直に言えば辛かった。
不安で、怖くて、何度も逃げ出したいと思った。
体力的にも辛かったし、身体にちょっとした異変も出だしていた。
健康診断も受けさせられたし、何度か警告も喰らった。
そういう経験を経ても尚、僕は今の自分の仕事に誇りを持っている。
社畜と呼びたい人は、勝手にそう呼んでくれて結構。
以前は「ノマドか社畜か」みたいな変な二分論が嫌いだったが、
今はあまり気にならなくなった。
といよりも、そういうネットやメディアの一部でやいや言われている
バズワードなど関係なく、皆プロとして真剣に生きているし、働いている。
そういう人達と、一仕事終えた後に一杯引っかけた時の充実感の方が
僕にとっては信じるべきものなのだと思う。