社会人になりたてのころ、はじめて客先でプレゼンを行った時にあまりのグダグダさに自分でも嫌気がさした。資料を作ったのは自分だったとは言え、突然上司に「んじゃ、北君説明してね」と突然振られて、緊張で頭が真っ白になり、恐ろしいほどの早口で話している内容はしどろもどろ、滝のように汗が流れ落ちた。
正直、自分でも向いていないなと思ったが、幾度と無くそういう場面に出くわしながら、自分なりに資料の話すポイントなどを絞りながらそれなりに効果的な説明が出来るようになった。本気のプレゼンをやる機会も何度かあったが、その時にはプレゼンの前日に会議室にこもって丸一日プレゼンの練習をしたこともあった。
この時に身を以て体得した教訓は次の2つ。
・プレゼンは段取り八分
・原稿は一度書いて忘れる
提案資料に書かれていることの10倍調べて考えて、資料の情報は1/10に絞り込んで後は口で説明する。原稿らしきものは一度書くが、書くと頭の中が整理できるから書くだけで、それを丸暗記することはしない。一度話すストーリーが決まれば、後はそれを何度も何度も体が覚えるまで練習した。
自分で完璧と思える程準備をしても、プレゼンの前は胃が痛かったし、お客様を前にすると緊張で頭が真っ白になる。しかし、準備さえしっかり出来ていれば、混乱する頭をよそに、言葉がするすると口から出てくる。話そうと思っていた事の8割ぐらいしか話せないことの方が多いが、少々のミスやど忘れをリカバリーできる程度に機転は効かせられる。
その後も手痛い失敗を経ながら、徐々にではあるがプレゼンスキルを向上させてきた。とりあえずのところ、落ち着いて話すことはできる様にはなったし、打率はそれほど高くないけど、それなりに刺さった感触を得られる様にもなってきた。
■プレゼンがうまくなる3つの要素
プレゼンがうまくなるには次の3つ要素を押さえることが鉄則だと思う。
- 良いプレゼンを見て研究する
- 兎に角場数を踏む
- プレゼンのフィードバックを得て改善する
良いプレゼンを見て研究するのであれば、今時はTEDやAppleのキーノートなど無料で上質なプレゼン教材を活用しない手はない。プレゼン関連の書籍を読むというのも悪くはないが、本はあくまでプレゼンスキルの知識を得て体系化することに役立つのみで、スキルを向上させるには実際のプレゼンを見るのが良いと思う。
TED | Translations | Talks in Japanese
このページにあるTEDTalksは、TEDオープン翻訳プロジェクトの一環として世界中に広がっている有志の協力のもと字幕がつけられました。多くのボランティアの方々のおかげで様々な国や地域の言葉の字幕が付 …
日本語字幕付きのTEDなら英語が苦手な人でも安心
場数を踏むというのは、練習の量と言うよりも兎に角人前で話す”機会”を作ると言うことなのだけど、これがなかなか難しい。社内で近しい人を前にプレゼンの練習をするにも、その人達にだって仕事もあるし、緊張の度合いも全く違う。要は、頻繁にプレゼンを行う業務に従事していないと、なかなか”プレゼンの場数を踏んだ”と言えるほどの経験を積むことはできないということだ。
更に、フィードバックを得るとなるともっと難しい。お客さんがあなたのプレゼンにフィードバックをくれる可能性は殆どないので、同席した上司や先輩などから「あそこではもう少し・・・」と言った形でフィードバックを貰うしかない。この時に成長に寄与するアドバイスがもらえる上司や先輩に恵まれていれば良いのだけど、どちらかと言えば的確なアドバイスがもらえることの方が稀なのではないかと思う。(僕の経験では、なので一般的には違うのかもしれないけど)
■東ラ研発足を決意した体験
僕自身、自分の中にあるプレゼンへの苦手意識やコンプレックスを克服したいというのが、勉強会やらイベントやらをやっている目的の一つであることは否定できない。兎に角場数を踏みたかったし、僕の中では「死なない程度の失敗は財産」という想いもあるので「失敗しても良い場所」というのを作りたかったというのもある。
勉強会やらイベント自体は参加頂いた方の負担したコストに見合ったリターンがあるべきだと思うけど、そのリターンの中に「貴重な失敗の経験」がある点はご理解頂きたい。例えば、東ラ研で前に立ってLTをされた方全員が完璧で素晴らしいLTをやらなければいけないわけではなく、プレゼンスキルに自信が無い方でも失敗を恐れず果敢に挑戦して貰いたいという想いがとても強い。
参加頂く皆様にとっての「場数」となり「失敗しても良い場所」を作りたいと思った原点、則ち東京ライフハック研究会という勉強会を立ち上げたいという想いを抱くに至った原体験が名古屋ライフハック研究会のLT練習会。
出会い交わり、そして僕らは響き合う~名古屋ライフハック研究会にお邪魔しました « Hacks for Creative Life!
この土曜日は名古屋まで出張って、名古屋ライフハック研究会が主催するライトニングトーク練習会に参加してきました。もちろん、懇親会付きですが、一言でいえば …
懐かしい!
名古屋ライフハック研究会の@kostyleさんや@nijinochichiさんの神業とも言えるLTと、東京から一緒に乗り込んだ@kazumotoさんの熟練のプレゼン(営業トーク)には、感動を超えてガツンと頭をぶん殴られた様な衝撃を覚えた。自分のLTはからっきしだったけど、皆さんやさしく良かった点、悪かった点をフィードバックして下さりただただ嬉しかった。
そこには先に挙げたプレゼン向上3つの要素である
- 良いプレゼン
- 場数
- フィードバック
が揃っていた。それも、かなり高いレベルで。
東京でもこんな会ができればと思って2年間試行錯誤を重ねてきたが、名古屋の背中はまだ遠い。
■東ラ研でももっとプレゼンの場を増やしていきたい
僕自身、これまでの2年間の活動の中で「プレゼンの場」として東ラ研がかなり有用であるという確信を得てきた。今後、これまでやってきた様なLT発表の時間はもちろん、20名程度の参加者全員が発表できるLT練習会などプレゼンの場を増やしていきたい。
今回、10/14に開催する東京ライフハック研究会Vol.10の「プレゼン大会」もその取り組みの一つです。この会は参加者全員ではなく、15名程度のプレゼンターが数十名の前に立って5分~15分のプレゼン/LTを行うというもの。(今回は既にプレゼンターの募集を終了しています)
10月14日 東京ライフハック研究会Vol.10 「プレゼン大会」(東京都)
皆さんこんにちは! 東京ライフハック研究会も活動2年目にして10回目の開催 という節目を迎えることになりました! …
プレゼンを磨こう!
20名程度の参加者全員がLTを行う練習会とは別にこういった、参加者の一部がプレゼンターとなる会を催す意図としては
- より多くの参加者の前で発表する機会を設けたい
- 10分、15分といったLTより長目のプレゼンの発表の場を設けたい
- まずはプレゼンやLTを見て勉強したいという方にも来て貰いたい
といった物が挙げられる。初の試みなので修正は入れるかもしれないのだけど、今後「プレゼン大会」は勉強会の中のLTコーナーや、LT練習会で自信を付けた方のステップアップの場として、またちょっとしたプレゼンの祭典として開催していければと考えている。
参考図書