Evernoteが値上げを発表しました。別にそれ自体はさして悪いことだとは思わないのですが、一定のユーザ離れは避けられないでしょう。
レスポンスも良くなってきて、リンク機能もまともな感じになってきたし、やっぱりWeb Clipや各種サービスとの連携機能は魅力的ではあります。ただ、ちょっと色々遅きに失した感があり、正直リンク機能だけで言えばScrapboxやObsidianには見劣りします。
Personal Knowledge managementツールとしてはあまり期待はしておらず、どちらかというとマルチプラットフォーム(特にWin/Mac/スマホ横断)でメモが取れるとか、色んなファイルや情報をとりあえずツッコんでおいてリンクが取得できる点が便利だったので、僕の現在の主な使い途は以下の通りでした。
- メモの一時的な置き場
- ファイルや参照情報の保管庫的に利用
- Tweetやブログのアーカイブ情報を保管
Evernoteの値上げと今後の方向性について
多くの個人ユーザが使うPersonalプランで月680円⇒1100円、年間5800円⇒9300円。まぁまぁドラスティックな値上げですが、機能が色々追加されたので致し方なし・・・と思える人はきっと継続するのでしょう。
Evernoteブログでしきりに機能が一杯付いたしこれからもAIノートクリーンナップやAI検索、安定性の向上やノートの同期をもっと安定させるぜって説明が書かれているのですが・・・正直、ちょっとAI検索がよっぽど頭良くない限りは使い続けるモチベーションにならず。
2016 年(前回の値上げ時) | 2023 年 | |
ノート編集 | 基本的な書式設定ツール |
高度な書式設定 セマンティックスタイル テンプレートギャラリー |
生産性向上 |
ノートのリマインダー チェックボックス |
ノートのリマインダー タスク機能(および複数のタスクリマインダー) カレンダー連携機能 ホーム画面 バックリンク AI ノートクリーンアップ [ベータ版] |
共同作業 | ノートとノートブックの共有 | ノートとノートブックの共有Evernote Teams のスペース同時編集 |
検索 |
検索 フィルタ OCR(光学文字認識) | 検索高度なフィルターOCR(光学文字認識)AI 検索 [近日実装予定] |
おそらく、生産性ツールやコラボレーションツールとしての進化の方向性を模索した感があって、当初会った「第二の脳」コンセプトはどこにいたのやら・・。
今回強く感じたのはEvernoteが遂げてきた進化と、今後の方向性が、完全に自分の期待値から外れていると言うこと。同じバンドメンバーなら解散待ったなしの方向性のズレ。
ぶっちゃけ、
- タスク管理はTodoist
- PKMはObsidian
- ネタの管理はWorkflowy
- Daily NoteはLogseq(これはObsidianに統合予定)
と既に「メモの一時保管場所」と「参考情報置き場」にしかEvernoteを使っていなかったので、その為だけに年間9300円はちと高いなってことで、このたびEvernoteから卒業することを決めました。(2024年の8月までSubscriptionが残っているので、暫くは併用するけど・・ね)
私のことが嫌いになってもEvernoteの事は嫌いにならないでください!フライングゲット💃って感じですね。15年間ありがとう、Evernote!
現在のEvernoteの使い途別移行先
ざっくりEvernoteの使い途毎の移行先をざっとまとめると
- クロスプラットフォームで使える一時メモ保管場所 ⇒ Craft
- ファイルや後から参照する参考情報置き場 ⇒ Craft
- Web Clip ⇒ Omnivoreで十分
- 自分の書いたブログ等々のアーカイブ ⇒ Omnivoreでよし
過去分はこんな感じで既にEvernoteから切り離しor最初から使って無い
- 日記 ⇒ 既にDay One
- TwitterやInstagramの投稿 ⇒ 既にDay One
- ネタやアイデアの管理 ⇒ 既にWorkflowy
- PKMというか自分のナレッジベース ⇒ 既にObsidian
- 読書メモ、引用とか ⇒ Obsidianに移行中
- タスク管理⇒元々Todoistやった
- Daily Note⇒既に
今現在のフォーメーションがこちらで
今後のフォーメーションがこんな感じです
Craftを主としてEvernoteの代わりに使う理由
今回Evernoteの主たる使い途であった「メモの一時保管場所」と「参考情報置き場」は完全にCraftに移行することとしました。
理由は「SetAppに含まれていてタダで使えるから」というのが一番大きいのですが、普通にCraftの方が使い易い部分もあったりします。
- 自分のiPhone/iPad mini/Macではアプリから利用でき、それ以外の端末からはWebアプリとしてアクセス可能
- ファイルのアップロードは50GB/スペース(Evernoteの10GB/月あんま使い切れてなかった)
- 文書、ファイル、ブロック(文章の塊)毎にurlが発行できる
- Evernoteより作れる文書のデザイン性が圧倒的に高いし、リンク機能が使いやすい
- MarkdownでExportできるし、Markdownのリンク形式でノートが取れるのでObsidianへの情報連携が超絶スムーズ
- アプリであればカレンダーからの予定作成も可能で、TodoistとGoogleカレンダー両方の予定/タスクのメモがサクッと取れる。(Daily noteこっちでええんちゃうか説も有るけどWebアプリだとカレンダー連携ができない)
- ページ毎に共有(公開したりアクセス範囲を決めて共有)できるので、サイトとして構築する必要がないページ、例えばイベント参加者向けの特典配布ページなどを作るのに便利
一瞬Obsidianに全て集約しようかととも思ったけど
- ファイルをローカル保存した場合に同期されていないPCからアクセス出来なくなる
- ObsidianをSyncできない端末からメモの取り回しができない
- PKMたるObsidianに不要な情報を入れたくない
- っていうかCraftからMarkdownエクスポートできるから必要なモノだけ移せば良くない?
等の理由からEvernoteに引き続き「メモの一時保管場所」「ファイル置き場」はObsidianの外に留め置くこととし、その用途としてBestかつ低コスト(SetApp課金してたから無料)で使えるという理由で私はCraftへの移行を決定した次第です。
Craft & ObsidianへのEvernoteからの移行
クラウドサービスを使わないなら無料で使えるJoplinというメモツールを使うとEvernoteのENEXファイルをインポート⇒MarkdownでExportできるので、Craft&ObsidianにEvernoteの情報を簡単に移行できてしまいます。
まずはEvernoteでEnexフォーマットで書き出し
JoplinでEnexファイルを読み込んで
Markdownで書き出してやりましょう。Front matterにも対応しているのでObsidianに移行する場合はFront matterも出しておくとDataviewで一覧表示とかに使えて便利なんじゃないかと。
CraftにMarkdownでインポートしてやれば
良い感じです。ちなみに強調表示やチェックボックスは表やバレットリストの中にあると上手く変換して貰えず。まぁ、手動コピーをしなくていいメリットに比べれば些細な問題でしょう。
さらに素晴らしいことに、ノートだけでなくノートに添付されている全ての画像やファイルもエクスポートされ、Craft上に保存されること。これはかなりMarvelous!!
とはいえ、Evernoteもなくなるわけではないので、とりあえず重要なモノだけを抜き出して移行。後はフリー会員としてEvernoteの情報を適宜参照するかなーって感じです。(Evernoteが50個以上のノートをまとめて選べない○ソ仕様なので。。そういう所やぞ。)
OmnivoreにWebページのクリップを集約
最近、後で読むツールにはOmnivoreを使っています。
今度詳細な記事を書くのでここではざくっと概要だけお伝えしておくと
- ほぼ全ブラウザにExtentionが用意されていて容易にWebをクリップできる
- かなり読みやすくシンプルに画面表示される
- Webコンテンツはキャッシュされるので元記事が消えても読める
- 無料でハイライトとノートを無制限に付けられる
- ObsidianやLogseqとの連携もバッチリ(ハイライトとノートが同期&Obsidian上のノートからOmnivoreの記事の当該箇所に一発で飛べる)
- iPhoneアプリなら読み上げも可能
- 記事のタグ付けもできるし、既読管理も出来て便利
- Mac/iPhoneにネイティブアプリがあるので共有メニューから記事を送れる
「記事がキャッシュされる」からEvernoteのWebclipperの代わりになるというのも大きいのですが、丁度元記事のキャッシュはOmnivore上に保持しておいて、ハイライトとノートだけがObsidianに同期されて、更にObsidianのハイライトやノートからOmnivoreの元記事の該当箇所に飛ぶって言うの・・・
これ、Evernote&Obsidianでやりたかったヤツ
みたいな感じで今めっちゃーハッピーです。詳しくはまた次の記事で書くので、とりあえずここではOmnivoreを使えばWeb Clip問題は解消されるって点だけでOK。
あと、OmnivoreはMacやiPhoneアプリも用意されているため、アプリをインストールすることでMac/iPhone共に「共有メニュー」が使えるようになります。僕は普段RSSをReederで読んでいるのですが、Reederで見つけた「後で読む記事」を共有メニュー、なんならMacのReederアプリだと”oキー”からOmnivoreに共有できるのメッチャ便利です。
Omnivoreが後で読む記事のキャッシュ生成にしくじった場合は、必要であればObsidianにクリップします。そのためのブックマークレットはこちら。
更にOmnivoreはメール受信やファイルアップロードにも対応
そしてもう一つ、お気に入りポイントはメールで記事を受信できること。メールでしか配信されないNewsletter/メルマガだったり、自分のブログ記事やNewsletter、Youtube、Podcastを全てメールでEvernoteにアーカイブしていたので、この代替が可能になります。
自分のアウトプットはRSSをBlogtrottrに食わせてメールからEvernoteに送り込んでいたのですが、Iftttでも似たような事が出来なくもないです。とりあえず、メールで送れるモノはなんでもOmnivoreに送り込むことが出来るってことで。
Omnivoreで受信されたメールコンテンツにも勿論ハイライトやノートを付けることが出来ます。
後PDFファイルをアップロードすればOmnivore上で読んだりハイライト付けたりノートを付けたりすることも可能です。勿論、ハイライトもノートもObsidianに同期されます。(僕はPDFをMarginNoteで読むのですが、とりあえず短めのPDFならOmnivore上で読んでしまっても良いかもしれない)
さいごに
最後にまとめです。
- Evernoteが値上げ発表。この7年間の成果並びに今後の方針がどうも僕が望んでいるモノと違うしなんつーかPhillの頃の「第2の脳」コンセプト完全に消えてて辛い。
- 既に色々他のツールに切り出していて以下の用途に9300円/年は辛い
- メモの一時的な置き場
- ファイルや参照情報の保管庫的に利用
- Tweetやブログのアーカイブ情報を保管
- SetAppファミリーに加入した「Craft」と最近使い始めたオープンソースな後で読むサービス「Omnivore」で概ねやりたい事が出来る
- クロスプラットフォームで使える一時メモ保管場所 ⇒ Craft
- ファイルや後から参照する参考情報置き場 ⇒ Craft
- Web Clip ⇒ Omnivoreで十分
- 自分の書いたブログ等々のアーカイブ ⇒ Omnivoreでよし
- 新しいフォーメーションのメリット
- コストゼロで実現(SetApp既に課金、Omnivore無料)
- Craftは文書/ブロック/ファイル毎にURLが付く(Evernoteより細かく参照可能)
- Craftはデザインに優れたドキュメント生成が得意で「告知」や「配布」などのサイトではない単発ページを作ったりするのにももってこい
- CraftはMarkdownでExport出来るのでObsidianとのメモの連携がしやすくなった
- 今まで有効活用出来ていなかったWebクリップや自分のアウトプットも、OmnivoreならハイライトやノートがObsidianに同期され再利用が容易になった
- Omnivoreにキャッシュ、Obsidianからキャッシュを呼び出せる理想の形が完成
- Evernote⇒Craft/Obsidianへの移行はJoplinを使うと簡単
改めて現在のフォーメーションはこちら。
本記事ではEvernote⇒Craft&Omnivoreへの乗換を中心に書きましたが、Obsidianへのハイライト集約については近々体系的な記事を書こうと思っているのと、電子書籍の元ネタとなる連載として、予定、タスク、メモを含めた「セルフマネジメントHacks」や情報のインプット、管理、アウトプットをまとめた「情報管理Hacks」を順次ブログにアップしていく予定です。
Craftも使えるSetAppはかなりお得なMac用のソフトウェアバンドルサービスなので、是非導入を検討してみてください。SetAppの紹介記事もまた書きたいと思います。
Also published on Medium.
メモ置き場にGoogle Keepではダメですか?
駄目と言うことはないと思います。
Google KeepでもApple標準のメモ帳でも他のメモツールでも。
僕はCraftが代替として丁度良かっただけなので。