先日NHKからオーディオブックヘビーユーザとして取材を受けたのですが、febe時代からあわせてAudiobook.jpのユーザ歴、則ちオーディオブック歴が10年目に突入していたことに気づきました。
インタビューに同席されていたaudiobook.jp広報の佐伯さんからも「どおりで詳しいわけですねー。2008年って、私まだxxx(衝撃のジョブ名称)でした。」とお褒め頂いた次第です。そりゃ、僕も年取ったわけだ。
番組の放送予定は本日、2018年5月7日(月)23:00〜23:40 「ニュースチェック11」とのことです。番組の編集の関係で曜日が変わるかもって話もあるので、その時はまたアップデートした情報お知らせしますー。
さて、話は変わって・・・前回オススメ20冊を挙げてから、早2年が経過しました。この2年の間に色々と面白い作品と出会うことができましたので、聴いてきた百数十作品のオーディオブックの中から特にオススメの30作品を紹介したいと思います。
だいたい300冊位聞いてきた僕がお奨めする「2016年度上期時点でのオーディオブックBEST20」をお奨めするよ!
■この2年で出会ったオススメのオーディオブック30冊
生き方系の本
かつて紙の本で読んだときは「ふむふむ、勉強になるな」程度の感想しか無かったのですが・・仕事がかなりつらくなっていた時期にオーディオブック版がリリースされ、通勤時間に何度も何度も何度も聴きこみながら、会社に向かう勇気を貰っていた経験から、今では座右の書とも言える存在となりました。
当時は、オーディオブックを聴きながら、何度となく涙をこらえることができず、通勤電車で眼を潤ませながら会社に向かっていたことも今となっては良い思い出です。ちょっと会社行く途中で寄り道して、寒空の下並木道で朝日を浴びながら、本書を聴きつつ散歩した情景は忘れられません。
本書を読むと、思い悩んだり、壁にぶち当たったりすることが、むしろ当たり前の事なんだなと気づかされ、だからこそ謙虚に真摯に取り組む姿勢が大切なんだよなぁと思い至らされます。
劇的な打開策が書かれているわけではないのですが、今の自分の状況を客観的に捉え、中長期のスパンで物事を考え、もっと根本的に自分はどうあるべきかを考えさせられます。
日々を懸命に、与えられた境涯を素直に謙虚に生きる。そういう在り方を潔しと感じる人にとって、本書は人生の伴走者となるのではないかと思います。
ご存知、人生100年時代ブームの火付け役。
みんなが足並みをそろえて教育、勤労、引退という3つのステージを生きた時代は終わりを告げるという点は、そういう大きな潮流が見えつつあったけど、改めて言われてみてよりくっきりとその様が見て取れるようになります。
お金、時間、人間関係への考え方を大きく変えて、見えない無形資産(生産性資産・活力資産・変身資産)に如何に投資するか・・・ということがかなり具体的なユースケースで描かれており、大変参考になります。
我々現役世代にとって、この本に書かれている物の見方、考え方を知っているか知っていないかは大きな違いになるのだろうな、と思います。
100年時代を生きるための必読の書です。
『プロ論。』などの取材構成を手がけた著者が、20年をかけ、各界トップランナー3000人から直接聞いたことを『成功者3000人の言葉』としてまとめた一冊。各言葉の発言者が隠されており、誰が言ったかというバイアスなしで言葉と向き合えるので、これはこれで面白いまとめかただと思う。
ちなみに、これまた仕事でキツイ時期に聴き込んでいた一冊で、あの時の自分にグッときたのであって、万人に受ける本では無いかも知れない。
特に、
”人間は愚かで弱い生き物である”
という言葉にグッと来ました。
その前提に立てばこそ、努力もできるし、誘惑に負けないように自分を律し、落とし穴にはまらないように注意もするっていう、当たり前のことに気づかされたんですよね。
僕はずっと「強くあらねばならない」と思っていたけど、そう思うならなおのこと自分の弱さと愚かしさと向き合って、対処しておくべきだったのに、祝詞のように「強くあれ、強くあれ」と繰り返すばかりで、弱さと向き合う事を怠っていました。
本書を聴いていると、職業人としての自分がこれからどうすべきかを自然と考えさせられると同時に、まだまだ自分はひよっこだなと、思い知らされます。自分が何者かになったつもりでいたけど、まだまだ何者でもなかったんだなと。
これからの自分の人生・仕事について考えたいときにこそ、この本は進化を発揮すると思います。人生について考えることが増えてきた方は是非。
植松さんがTEDでやったプレゼンはかなり反響を呼んだので、ご存知の方も結構いるんじゃないかなと思います。その植松さんの御著書は実に心揺さぶられる内容でした。
「あなたの夢を書いて下さい」という質問に対して「夢みたいな夢」を書いたら怒られる世の中はやっぱり”間違っている”って思うわけです。(誰もが善意で助言してくれているので、変なことでは無いんだけど、無意識下で間違っているという意味で間違っている)
夢みたいな夢を描いた人がいるから、社会はより便利で面白く、より豊かに、そしてより平和で安心して暮らせる様になったわけですし。
でも、それって実は当然のことで、やり方知らない人に助言を求めれば、やり方が分からないから怖いと感じるし、分からないことを認めるのはそりゃ恥ずかしい訳です。そういう人に聴いたら「そんなの無理だからやめとけ」ってなっちゃいますよね。
だから、誰に聞くかってのは本当に大事だと思います。(ちなみに、躓かすにそこまで言った人に質問すると「何でそんなことで悩んでんの?さっさとやれば?」とか言われるので注意w)
本書のテーマは「夢」ですが、冒険しようとか、一歩踏み出す勇気を持とうとか
そういう精神論的なのとは全然違います。
やりたいことや好きな事があって、どうしたらそれを実現出来るかを考えて、やってみて、上手くいかなかったら反省してやり直して、そんなことを繰り返して行こうっていう、ある意味地道なお話。
子供の頃から否定されてもけなされても、ロケットを飛ばしたいって夢を持ち続け、遂にロケットを飛ばしてしまった植松さん。人間としても、親としても、仕事人としても、本当に参考になる考え方や物の見方が書かれた良書です。
喜多川さんの本は全般的に好きなんですが、個人的には「君にあえたから」や本書みたいなちょっと甘酸っぱい感じの話が好きだったりします。他書と同じく、本書も小説仕立てなのでオーディオブックとの相性もとても良いです。
先に挙げた植松さんの「空想教室」を聴いた直後に聴いたので、本書が植松さんに相当インスパイアされているのが分かりました。(最後の謝辞にもバッチリ書かれていました)
「空想教室」を聴いたときにも感じたことですが、気づかない内にいびつになってしまった「夢」に対する僕らの向き合い方に気づかせてくれて、もっと自然体に「夢」に向かえるようになれた気がします。
本書を読むことで、どこかに置き忘れてきた子供の頃の「夢」を見つけだして、今の自分が採れる方法でまたアプローチし始めることが出来るかも知れません。
僕はきっと、まっすぐは進めないと思いますし、何度も立ち止まってしまうとは思います。それでも、何度でも”その場所”へ戻って思いを巡らせ、また「夢」に向かって歩み出したいと思います。
Twitterの「ひらめきメモ」で有名なF太さんの本。
ハッとさせられることが多々ありました。
経験に基づく思考140文字の世界を再編した、超散文的な本ではあるので、論理的な展開とか、科学的な根拠とかを求める人には向かないと思う。
本書の楽しみ方としては例えば以下が考えられる
・「そういう捉え方もあるのね、ふむふむ!」という自分とF太さんの視点の違いを比較して楽しむ
・「あぁ、確かに言われてみればそうかも!」という、自分一人では思いつかなかった事柄との出会いを楽しむ
・「F太シャワーを浴びたい!!」という、「ひらめきメモ」フリークのヘビロテ用途として
言葉というのは、同じ字面でも、目にするシチュエーションが違えば、そこから得るインプレッションは全く異なる。この本に書かれている言葉の内、全てが刺さるというはきっといない。でも、また違ったタイミング(例えば、失恋したーとか、仕事で失敗したーとか)で読むと、違う言葉が刺さるんじゃないかとおもう。
「ひらめきメモ」だって、あれだけのフォロワー数がいるけど、毎回何万もの「いいね」が付くわけではない。Twitterというライブな場所で、20数万もの人が同じ言葉を見て、その中で偶々「刺さるシチュエーション」だった人がいいねやリツイートをしているってことなんだと思う。
「ひらめきメモ」の凄いところは、日々そういう「言葉と出会うべくして出会った」ドラマが繰り広げられているってところ。その言葉を求めている人がいて、その言葉を発する人がいる。その出会いの確率を格段に高めたTwitterという場について、改めて考えさせられました。
自己啓発系
7つの習慣などにも多大な影響を与えたアドラー心理学を世に知らしめた、嫌われる勇気の続編「幸せになる勇気」。やっぱりこのシリーズはオーディオブックが相性が良いですね。
以下、自分なりのポイントです。
【共同体感覚 】
共同体感覚とは、「他者への関心」。つまり、相手が興味を持っていることに自分も関心を示すことが「尊敬」への最初の一歩。
【問題行動の「目的」の5つの段階 】
1.称賛の段階
⇒誰かから称賛されたい、褒められたいという目的で行動
2.注目喚起
⇒注目を浴びたい、目立ちたいという目的で行動。
3.権力争い
⇒親や教師に対して、権力争いを挑み、憎しみという感情で自分に注目してもらうため行動
4.復讐
⇒相手の嫌がることをし続けることで嫌悪や憎悪といった感情を相手に持たせつづけ、自分との関係を構築・維持するのが目的。
5.無能の証明
⇒自分には、能力がないということを周りに誇示。
【怒ることは未熟なこと】
怒るというのは、「怒り」という感情を使用し、相手をコントロールしようとすること。あなたが相手とコミュニケーションを取らずに屈服させようと考えているからこそ起こる「行為」。実際のところ、怒ったところで相手はあなたのことを尊敬も、理解もしないし、ましてや認めることもない。
【自分が人を愛することで】
愛とは「二人で成し遂げる課題」。
愛されたいというのは基本的に「アレが欲しい」という物欲と変わらないが、自分から他人を愛することは自立することにつながる。
【黄金律について】
相手がして欲しいことをするという黄金律は、実は幸福を得ることに繋がる。貢献感は幸福感と繋がる。自分の行いが相手のためになっていると主観的に認識すれば、「幸福」を感じられる。
【運命は、自分で作り上げる】
運命は与えられるものではなく、自分で作り上げるもの。毎日、できることをして他者に与えていくことで運命を作り上げることができる。
人生というのは、何を達成したかではなく、何をして生きているのかということ。
過去に目を向け、過去の悲劇に酔うことは、現在、そして未来の可能性をぶち壊す可能性がある。人は望む人生に、今この瞬間からなることができる。
セット販売もあるので、ご興味ある方はこちらもどうぞ。
参考
「「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」セット」のオーディオブックセットaudiobook.jp
あまりにも有名な古典的名著の一つではありますが、これまでちょっと敬遠してきておりました。でも、読んでみて(聞いてみて)、もっと早く読めば良かったと後悔せずにはおれない素晴らしい作品でした。
タイトルの「人を動かす」からは、何か他人をコントロールするかのような印象を受けるかも知れませんが、どっこい他人に「気持ちよく動いて貰う」ことに主眼が置かれており、割と日本人の気質にあっているんじゃないかと思いました。(今時の営業系ノウハウ本よりもこの本の方が奥ゆかしい)
100年近くも前の、しかもアメリカという国を舞台とした本ではあるが、今でもほぼほぼ通用する内容。所謂コミュニケーションの原理原則というのは変わらないのだなぁと感慨もひとしおでした。
デールカーネギーの方がナポレオン・ヒルより好きだなぁって思うのは、恐らくカーネギーの方がより科学的だからだろうなぁっと感じた一冊。今風に言えば、ナポレオン・ヒルが自己啓発で、カーネギーがライフハック。
いや、まるで現代の事を言っているのかと見まごうばかりの普遍的な内容にちょっと感動した。悩みの対処法や健康法など、ちょっと最近しんどいなぁと感じている人は一度読んで見ると良いかもです。
オーディオブック版が出たから、食わず嫌いせずにちょっと聞いてみようかなって思って買っちゃいましたが、正直、ずっと敬遠してた本でした。
僕はスピリチュアル的な本はまったく好きではありません。似たようなタイトルの本に宇宙と繋がるとかなんとかいうスピリチュアル全開の本があったからってのもあると思います。
でもオーディオブック版聞いてみて、思ったよりもスピリチュアル要素が低くかったのでちょっと安心しました。マスターマインドとかもちょっと勘違いしていました。「xxxについては●●さんが知っている」って他の人の専門知識に頼るのって、普通にやりますもんね。
今まで食わず嫌いしてごめんなさい。一部やっぱり受け入れられない部分もありますが、大半はとても参考になる本でした。はい。
小説
もうすっかりジェイムズ・P・ホーガンに魅了されっぱなしな僕です。「星を継ぐもの」は以前も紹介しましたが、続編の「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」もリリースされ、セット販売もされているのでこちらでご紹介します。
「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」では「星を継ぐもの」から続く謎が次々と明らかになってなんというか、刊をまたいだ壮大な伏線に全力で感嘆させられます。
それから、この頃の「AIブーム」を見越したかのようなゾラックというコンピュータにも要注目です。81年って、機械学習とかまだなかったよな・・多分。
「ガニメデの優しい巨人」でも相当に超科学なんですが、「巨人たちの星」はそれが時代遅れの技術になって超超科学がもう圧倒的すぎて面白すぎて、SF作家って未来人なのかって思ってしまうほどです。
最終刊の「巨人たちの星」を読むと、前作、前々作で謎のままとされた伏線もキッチリ回収されて、全てがぐるっと繋がる爽快感を得られる3部作です。3部作まとめ聴き超おすすめです。
言葉の持つ力に圧倒され、魅了される本でした。
いつの間にか自分がウェルテルとなったかのように錯覚し、そして、ウェルテルの苦しい心情を同じように感じてしまうため、その結末に一種憧れすら抱いてしまうため非常に危険だなと。
「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ」
とゲーテはエッカーマンに語ったと言います。
僕も全く同意です。
勿論、僕はウェルテル(則ちゲーテ)のような恋をしたわけではないし、ウェルテルほどの知性も備えていません。それでも、僕はこの本に出会えてよかったと思いますし、出会うべくして出会ったのだとも思っています。
ただ、ちょっと精神的にキツイ時期に聴いていたので、怖くて2周めを聴くことはできませんでした。今度、2周目を聞いてみよう。
Amazonのブックレビューは大荒れでしたが、個人的には好きな感じでした。感情移入しやすいタイプ、或いは小劇場で演劇を見るのが好きな人には良いと思います。演劇調のストーリーなのでオーディオブックとの相性も抜群だったかなと。通勤中に聞いていて何度も泣きそうになってヤバかったです。
情報インプット、勉強、読書系
対談系の本でここまで聞きやすいのも珍しいってぐらい文章構成が素晴らしい。(対談ってそのまま喋り言葉を文章化すれば良いってわけじゃないので、ライターの腕の見せ所でもあると思う)
新聞、雑誌、読書、ネット、そして学習参考書などなど様々な情報収集のテクニックや、情報元に関する情報が得られるので、この本を読みながら自分の情報収集法を逐一見直して行くとよいだろう。(ちなみに、お二方の情報インプットのやり方が変態過ぎて、まったく真似できる気がしないのでそこのところは割り切ってください)
この本自体は、俯瞰的に「どの情報と、どの様に向き合うか」にフォーカスしているため、例えば速読や飛ばし読みなんかの具体的なやり方まで踏み込んでいない場面も少なくはない。なので、特に佐藤優氏の読書術なんかは「読書の技法」などを併せて読むことを強くオススメします。
面白い本でした。
特に音楽を聴くという体験と読書の対比は実に示唆に富みます。音楽は1音たりとも逃さず聴こうとはしないように、読書も一言一句逃さず読む必要は無いのかもしれないという気づきは大きかった。
”「その一冊」を読んだのは、「その一行」に出会うため”
というのは凄く良い言葉だなと思う。
・目次を熟読する
・セクションの冒頭と末尾だけ読んで真ん中を読み飛ばす
・引用とコメントを残す
・書くことを目的に読む
などなど・・ただすっ飛ばすだけで無く、目的と時間制限をもって読書密度を上げる工夫が満載の本で有った。
知的生産系
今更僕が言うまでもなく名著なわけですが、昔々紙でも読んで思っていた通り、やっぱり良い本だなぁと。すごくインスパイアされました。
アイデアを育てる為に、手帳からノートに差し替えていくって運用は、割とそのままEvernoteでの情報管理に活かされてたりするので、本書の考え方そのものは今でも十分通用するなって感じます。
情報整理や活用にお悩みの方は是非一度読んでみて下さい。
以前本でも読んでいましたが、オーディオブックで再読したカタチです。発見の手帳、情報カード、こざね法・・等々本書から受けた影響は計り知れません。
本書がオーディオブック化された時「まじか!!」と割と大声で叫んでしまいましたし、アドレナリン大量噴出は不可避であったことは間違いありません。
かな文字タイプライターやローマ字に対する熱い想い、原稿用紙や活版印刷に関する考察など、パソコン(或いはワードプロセッサー)以前の世界で、如何にして出版が行われていたか、というのも実に面白かったです。
技術は進化したが、それでも人は面倒くさいと思ってしまいます。便利に慣れると、その便利を感じられなくなってしまうのですかね。不便な頃の方が、それを乗り越えようと工夫を凝らして面倒を厭わないことがままあるのは、人間の性というやつなのかもしれません。
ライフハック
コンパクトに集中するための方法がまとめられていてライフハック本としても非常に良く出来ている印象です。
会社の机を整理したり、水色のペンケースを使い出したのは本書による影響が大きいのですが、その他かなりのライフハックが詰め込まれた強力な一冊です。
以下、
・集中力が湧き出す泉は、あなたの額から2-3センチ奥、前頭葉。思考や感情をコントロールする力のことを「ウィルパワー」と言う。
・ウィルパワーには2つの特徴がある。
①ウィルパワーの総量には限りがあり、集中力を使うことによって消耗していく。
②ウィルパワーの出どころは1つしがない(全く関係のないはずの行動でも、使われているウィルパワーの出どころは同じ)。
・ウィルパワーを鍛える方法は2つ。
①トレーニングによってウィルパワーの総量を増やすことができる。(姿勢に意識を向けるなどセルフモニタリング効果で鍛えられる)
②ウィルパワーの消費量を、日々の行動や習慣を変えることによって節約する
・毎日の生活のなかで「なにかをやる」「なにかをやらない」「なにかを望む」という選択と決断をくり返す度に、ウィルパワーは滅少
・ウィルパワーが一定以下になると、「先延ばし」をしてしまう
・頭の中で「やりかけのまま」「先延ばし」にしておくと、無意識に気にした状態が続く。これを「決定疲れ」といい、ウィルパワーが消費され続ける。
・行動を「習慣化」すると、前頭葉ではなく、小脳が主に使われるようになり、ウィルパワーを節約できる
・集中力の持続時間は、十分に鍛えられている人で「120分」。普通の人は長くて「30分」
・時間を区切る、たとえば「定時に帰る」というようなデッドラインが定まると、取り組む仕事と使える時間が決まり、選択肢が絞られる。結果、ウィルパワーの浪費が減り、集中が増す。
・自分がどのくらいの時間、どのような環境でいると集中できたのかを記録することで、脳にはプライミング効果による暗示がかかり、その環境・その時間帯には自然に集中できるようになる
等など・・細かい読書メモは以下参照
とりあえず、一つ言えることは、自分はこの本に書かれていることを全く実践出来ていないといことです。もう、ぐぬぬしか出ない。
やることを減らしてエネルギーを集中させることがどれ程自分や周囲にとって大切かがよく分かります。身につまされます。ぐぬぬ。
頑張ってるのにどこか空回りしている気がする人には、この本はまじでオススメ。ぐぬぬ。
最初に言っておきます。
「この本は絶対に読むべき」
この本は「ストレスに関するマインドセット介入実験」について述べられていて、それがどれ程の影響を我々の人生に与えるかをかなり説得力のある根拠と共に提示されています。
僕はこの本を読んだとき「もっと早く読むべきだった」と後悔しましたし、僕がこれまで切り抜けてきたいくつかの「強烈なストレス環境」に価値を見いだすことができ、救われた気持ちになりました。(この本の内容がすっと入ってきたのは、辛い経験の中から得たものがあることを実感として持っているからだと思います。)
ストレスと言えば「闘争・逃走反応」のイメージが強いのですが、ストレス反応にはいくつかの典型的な種類があり、各反応によって体に起こる生物学的な変化が異なるため、ストレスへの対処方法もそれぞれ異なります。
たとえば「チャレンジ反応」が起こると、自信が強まり、進んで行動を起こし、経験から学ぼうとします。いっぽう「思いやり・絆反応」が起こると、勇気が強まり、進んで人の世話をし、社会的な関係を強化します。
人生を生きていく内で、これらを知っている必要は必ずしもありませんが、辛い・悲しい出来事から僕らが何かを得たという実感の”中身”を、この本は教えてくれます。そして、この本の知識があれば、今後強いストレスにさらされた時の態度を、ある程度は選択できるようになるかもしれません。(以前、仕事で死ぬほど辛かったとき、上司が「面白くなってきた」と言っていたのは強がりでは無かったのかも知れない、という事に気づきました)
この本自体がひとつのマインドセット介入であるので、この本を読んでストレスに対する考え方に変化を生じさせることができれば、それは人生における最高の収穫になるかも知れません。繰り返しですが、この本は、絶対に読むべき一冊なのです。
回復、瞑想系
マインドフルネスの実践法や効果が脳科学的なエビデンスと共に提示され、「神秘的」なイメージを払拭することができました。
本編がストーリー形式になってはいるものの、冒頭にストーリーの中で語られる手法がコンパクトにまとめられているため要点だけをさっと掴むことができるのも非常に良いですね。
基本的な休み方が網羅されていて中々良い本でした。割と健康意識が高い人だと新たな収穫は少ないかもしれませんが・・。
理論より実践という感じで、学術的根拠は省かれているんだけど、これくらいコンパクトにまとめてくれていた方が、読むのも試すのも楽なので、著者を信じて実践あるのみという感じです。
とはいえ、分かっていても中々実践出来ない僕がいるわけで、一つでも多く休む技術を生活に取り込んでかなきゃなと。
ちなみに目次が以下の様になっていて、なんだかライフハックっぽいw
1章 眠りを変えて疲れを癒す9つの習慣
2章 こころのパワー不足を乗り切る11の方法
3章 自分に心地よいリズムをつくる9つのコツ
4章 こころとからだの不調をリセットする12のレシピ
食事、睡眠、運動が大事ってのはままあるんだけど、TODOリストとかで不安解消みたいな感じで日常のちょっとした工夫で精神的な疲れを軽減するコツもあるので、ライフハック系の人には「俺のやってることは健康に良い!」みたいな変なお得感があることうけあいです。
腸内フローラをはじめとした、最近との付き合い方が色々描かれている本。率直に面白い本だったと思います。
まぁ、清潔になってしまった現代人の我々がどこまでやれるかというのはあるのですが、とりあえず印象に残った部分だけ書き出すと以下の通り
・皮膚常在菌を死滅させない為に石鹸は使わない
・落ちた食べ物は菌の宝庫と思ってそのまま食べる
・保存料の入った食べ物は腸内細菌を弱らせるのでなるべく摂らない
・味噌、納豆、ヨーグルトなどは善玉菌を増やすので積極的に摂る
⇒なるべく生きた味噌を摂るのが良い。「プロバイオティクス」
⇒腸内細菌の餌となる食物繊維とオリゴ糖摂取を心がける
野菜類、豆類、果物類(食物繊維、オリゴ糖)
・癌の発生原因である活性酸素対策として
・よくかんで食べる
・「フィトケミカル」摂取を心がける
⇒フィトケミカルには強力な抗酸化力がある。
「赤・オレンジ・黄・緑・紫・黒・白」7色の野菜や果物を毎日食べる。
赤:トマト、唐辛子 オレンジ:みかん、ニンジン、かぼちゃ、
黄:レモン、とうもろこし 緑:ほうれん草、ブロッコリー、
紫:ナス、黒豆 黒:ごぼう、お茶類、黒ごま 白:キャベツ、にんにく、ねぎ等
・ガン細胞の抑制、免疫を活性させ「イオウ化合物S-アリルシステイン」
⇒ニンニク、長ねぎ、玉ねぎ、ニラ、大根、わさび、キャベツに豊富。
・グルカンが豊富で免疫力を高めるのはキノコ類
・抗酸化力が強いプロポリス
要するに、発酵食品、野菜、キノコ、果物、蜂蜜を積極的に摂る、ということですね。
本書を読む前に、土壌菌を取る為に土を完全に落とさずに根菜を食べる話を職場の同僚としていたので、なんとなくタイムリーな感じでした。
哲学、歴史、芸術など教養系
サピエンス全史はオーディオブックで聴くと、まるでNHKのドキュメンタリー番組のような趣です。
ホモ・サピエンスが如何に生態系を破壊してきたか、そしてそのホモ・サピエンスも実は小麦に家畜化されていたとか、なんとも刺激的!!
上下刊とも無茶苦茶面白かった!
最新の哲学動向ってどうなってんのかな?
ぐらいの軽い気持ちで読んだみたら、いわゆる人生論や観念的な話はほとんどなくって、人工知能、遺伝子工学、格差社会、テロの脅威、フィンテック、宗教対立、環境破壊などなど、様々なトピックスに対して様々な「思想」やそれが与えてきた影響などをダイナミックな文脈で解説してくれる本でした。嬉しい誤算です。
本書の素晴らしい点は、クローン人間がなぜ問題視されるのか?なぜ貧困や格差が問題なのか?なぜ人間は地球環境を守らなければいけないのか?と、どこかでタブー視や絶対悪と僕らが思い込んでる事柄に「なぜ?」をぶつけて改めて考えるきっかけを与えてくれるところです。
人それぞれ、立場や主張はあるとして、それを表層上の理解や、思い込みの段階に止めたり、自分の見方にバイアスが掛かっていることに気づかないのは、危険なんだな・・と改めて思いました。
多面的に考えるとか、背景にあることを全部理解して深く考えるとか、そんなに簡単なことじゃなくって、やはり虚心坦懐に自分が知らない事を自覚しながら、知る努力と考える努力を続けるしかないんだなぁっと。気を付けねばです。
ということで、自分の考える時の視座を増やしたい、新しい世界観を獲得したい、みたいな人には凄くオススメの一冊です。
佐藤優さんの本は知らない世界を垣間見させてくれるので、結構好きです。本書の面白い所は、反知性主義とはどういうものかを検証する中で、知性とは何かを明らかにするアプローチです。
佐藤優さん曰く、反知性主義とは「実証性や客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度」ことであり、政治エリートや官僚が反知性主義に陥ることで日本の国益が損なわれるという主張が多く見られました。(そして、その事例のなんと多いことか)
日本という国も、私たち一人一人も、グローバル化の波に飲み込まれてしまっており、自分たちだけが正しいと考え「分からないあいつらがおかしい」としてしまうことは、他者(他国の人々)の理解を得られずに孤立を招く等不利益に働くのは確かです。安易に自己正当化に走らず、自分たちの言動にはせめて他者の視点を鑑みる心がけは必要だなと思いました。
一人一人が知性を身に付けること、或いは反知性主義に陥らないように注意することで、民主主義がポピュリズムに陥ることをある程度抑止できるかも知れませんが、中々に短期スパンでどうにかするのは難しいかも知れません。まずは、後世に社会をバトンタッチする我々現役世代が地道に取り組むしかないのだろうと思います。
この本をどのジャンルにするかちょっと悩んだんですが、AI時代の今、統計学というのは教養、あるいはリテラシーに属すべき学問であろうとおもったのでこのカテゴリに入れました。
最近仕事でAIを扱うようになって、統計学を改めて勉強し直していたので、この本が出たときにちゃんと勉強し直しておけば良かったと猛省することしきり。というか、AIの基本の”き”である統計学の入門書、或いはガイドラインとして本書は素晴らしすぎます。
多分、本書が刊行された時よりも、今の方が本書の価値が高いと思います。
最近ドヤ顔で「AIによって人の仕事が奪われる」「これからのAI時代は」とか語ってる人のどれぐらいが、真っ当な統計リテラシーを持っているのかは疑わしいけど・・一応それなりに仕事でAIと分類される分析技術と触れあってる僕から言わせて貰えば
”これからのAI時代、AIに仕事を奪われる人と、そのAIを育てる人に大きく二分される。AIは世間の人が騒ぎ立てるほど万能ではないから、特に業務ドメインの知識を持ちつつ、ある程度の分析スキルを保持している人は”しばらくの間”非常に重宝されることになる。まずは統計の勉強、そして次にPython系の分析ツール(Jpyter使えると○)で練習するあたりから着手すると良い。”
というところかなと。その入り口として、本書は大変に素晴らしい本だと思います。
刊行から27年経った今も色褪せぬ名著です。
第2次世界大戦の日本陸海軍の戦史研究を元に、組織的戦略的失敗の真の原因を探るというアプローチで、大変興味深い内容ではありましたが・・・多くの人命が失われた歴史的事実を思う時決して面白い話とは言いがたいところもあります。
ノモンハン事件、ミッドウェー海戦、ガダルカナル島作戦、インパール作戦、沖縄戦など、歴史の教科書ではキーワードが紹介される程度の扱いなのですが、それぞれの中で意志決定者が何を考え、どういった戦闘が行われ、その結果どの様な凄惨な結果となったかが詳しく解説されていきます。
これらを取り巻く戦争全体の戦略の不統一不徹底、これらの戦いの戦略的重要性の認識の錯誤、各戦闘単位での戦略的錯誤や思い込み、コミュニケーション不足、白兵銃剣主義や大艦巨砲主義への過度な固執など様々な失敗の要因が挙げられ、それは恐ろしい程に現代の我々の状況と酷似しています。
個人的な意見ですが、日本史教育の中で、第2次世界大戦当時の日本政府並びに日本軍部をただの「悪の枢軸」で片付けるのでは無く、そこには今の日本人と大きくは変わらない普通の人々がいて、当時の軍部中枢は今の中央官庁と同程度にインテリ化、官僚化されていたことを伝えるべきであると思いますし、その中で行われていた「間違った判断」は現代にも十分起こりえる学ぶべき教訓であることを教えるべきであると思います。
プロパガンダ的に戦時中の日本政府、軍隊が悪だったと片付けるのではなく、そこにどの様な人がいて、何が今と同じで、何が今と違うのかを教えることで、歴史を教訓に学ぶことができるんじゃないかと思います。
ノンフィクション、伝記系
正直、人間の暗部を見せつけられて結構どんよりした気分になりますが、強制収容所という過酷な環境の中での出来事が、どこか客観的に描かれている点が原題の「心理学者、強制収容所を体験する」たる所以かなと思いました。
これを読む(聞く)と、壮絶という言葉をおいそれとは使えなくなりますし、誰もが非道い奴になり得るんだということを見せつけられますし、それでもある種崇高さを失わずに生きていけることに希望を見いだすことができます。そういう絶望と希望の双方を行ったり来たりする本書を読むのには、やっぱりそれなりの覚悟が必要だなと思います。
紙の本だったら、一度閉じた本を開くのを躊躇するかもだけど、オーディオブックなら聞き進められるので、そういう意味でオーディオブック向けかなと。ただ、没入すると結構精神的にキツくなるので、使用量はお気を付け下さい、って感じです。
元民主党所属の衆議院議員であった嶋聡氏がソフトバンクで社長室長を勤めた8年間を綴った本。いや、ダイナミックな内容だった。
ボーダフォン買収からスプリント買収までの、ソフトバンクの大躍進時代に孫社長を支えた影の実力者って感じです。なんというか、政治力すげーな、うへ。としか言いようが無い。
光の道や震災時のソフトバンクの対応、クリーンエネルギー事業への参入など、一見脈絡が見られなかったソフトバンクの動きの裏で何があったかがよく分かります。いや、この本に書かれている出来事が8年の間に起きたとか驚き以外のなにものでもない・・けど、確かに記憶を辿ればそうなんだよなぁ。
読み物として非常に面白いので、多くの人に是非読んでみて頂きたい一冊です。将に事実は小説より奇なり。
さいごに
2年分のお薦めオーディオブック紹介記事だったのでかなりボリューミーになってしまいました。お読みいただいた皆様にご興味を持っていただけたならこれ幸い。
紹介した書籍
Also published on Medium.
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