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今この時代だからこそ敢えてブログで情報発信をしたい

倉下さんとの「ライフハック研究会Online」でのブログ対談は話している本人としてはとても楽しいものでした。音声や映像がかなり乱れてしまったり、思いつくがままに喋ってしまってまとまりもなかったのでライブ視聴をご覧頂いた方にはご不便をおかけしました。

以下の編集版では映像音声の乱れは改善されておりますので是非こちらご視聴頂ければ幸いです。

さて、本記事では、対談の中で自分が話したことや、考えた事、感じたことを簡単にまとめておきたいと思います。

個人がブログで発信をするということ

プラットフォームか独立メディアかの違い

最近ではnoteでテキストの情報発信をされる方が増えましたが、どこのブログサービスにも属さない独立したブログサイトを立ち上げる事がブームになっていた時期もありました。私の「Hacks for Creative Life!」もレンタルサーバー上にWordpressで構築したいわゆる独立したブログサイトです。

対談の中ではブログメディアの分類を以下の3つに定義しました。

  • noteなどのプラットフォーム:トップページはプラットフォーム
  • はてななどのブログサービス:トップページは自ブログのindex
  • 個人が建てる独立したブログサイト:トップページは自ブログのindex

note自体は広告に依存せず、テキスト以外のクリエイティブにも広く応用ができる優れたクリエイタープラットフォームではあるものの、以下の様なメリットデメリットから「個人ブログメディア」として少し不利な部分もあります。

noteを使うメリットは

  • セットアップの手間が省ける、すぐに書き始められる
  • プラットフォームとしてユーザ数が多いので書き始めて早々に読んで貰える可能性がある
  • noteアプリでしかテキストコンテンツを読まない層にリーチできる
  • 収益化の仕組みが整っている
  • 広告がない

逆にデメリットとしては

  • デザインが他の書き手と画一なので、メディア=個人の認知がされずらい
  • 色々カスタマイズしたり、自分のメディアを作り上げる・・みたいな感覚は無い
  • 書いたモノをエクスポートする機能が無い

個人で建てた独立したブログサイトの場合、この真逆のことが言えます。

noteは場としての集客が期待できるが店舗の区画が画一的なショッピングモール、はてな等のある程度カスタマイズが効くブログサービスは商店街の店舗、独立したブログメディアは自由に手が加えられるが集客を自力で頑張らないといけない路地裏の一軒家、みたいなイメージですね。

どれが良いとか悪いとか、どれか一つを選ばなければいけないという訳でもなくて、自分の使い方や目的に合ったものを選ぶ或いは組み合わせて使うべきかなと思います。

自分で作り上げてきたメディアという自負

倉下さんと話していて強く感じたのは「自分のブログメディア」を僕は作ってきたんだなぁというもの。独自ドメインごとnoteに移管したいと思うか・・という問いに対して理由がよく分からない中でも「いや、それはないな」と即答した自分がいたことに少し驚きました。

レンタルサーバを借りて、Wordpressをインストールし、あれこれカスタマイズして13年ほど運用し続けてきました。自分が書きたいことを書き、自分のサイトにそぐわない相互リンクやらレビューの依頼やらは断ってきました。

何を書くべきで、何を書くべきでないか。どんな人に読んでほしくて、誰の為に書いているのか。そういうことを考えながら、サイトを作り、記事を書き続けてきました。まごうことなき「自分のブログメディア」です。

倉下さんの仰っていた「個人ブログ」の二階建て構造は凄く分かりやすくて、

  • 個人がWebに向けて情報発信する
  • ブログメディアを自分の手で作る

ただ情報が発信できれば良いと言う人は、ブログメディアを自分で作らなくても、SNSなりnoteなりのプラットフォームを使うのがよいと思います。

僕の場合は、結構自分で作ってきたという感覚が大事で、他者に依存せず、他者の干渉を受けずに自分のメディアを作り育ててきた事に自負を持っており、今更プラットフォームに移行したいとは思えなかったのだと思います。

多くの人に読まれたいのではなく、同好の士とつながりたい

もう一つ、僕がブログというか、インターネット上で情報発信をはじめたのは「同好の士と繋がりたい」という想いがあったことを対談の中で思い出しました。

まだインターネットに接続できていなかった高校生の自分、とある雑誌に投稿し、自分の住所をさらし(今じゃ考えられない)、見ず知らずの人から送られてきたフロッピーディスクの中の作品を、Visual BasicでMP3を再生しながらタイマーで作品を表示するプログラムを組んでラジオ形式の番組に仕立て、それをまた雑誌に投稿していました。

今では情報発信の形をブログ、Youtube動画、Podcast音声、メルマガという形に収まりましたが、今やっていることは高校生の時分と大差ないなとも思います。

あの頃はインターネットがなかったし、技術も今ほど進歩していなかった。それが今では日常的にテキストや音声、動画でコンテンツを作り、リアルタイムにネットに乗せることができる。めっちゃ便利になったなと。

1998年、はじめてインターネットに接続できるようになったとき、真っ先に勉強したことがhtmlでのサイト作りであり、自分の作ったCGや音楽、プログラム、小説(最大の黒歴史)を自分のホームページに掲載したときの高揚感たるや、格別のモノがありました。

その時に考えていたことは、別に多くの人に見られたいとか、金儲けがしたいとかそういうのではなく、今まで絶海の孤島で独り誰に知られることもなく作っていた作品を、誰かが見てくれて、同じような趣味の人と繋がれてチャットなり掲示板なりでやりとりしたい、というものでした。

やがて発信の形はブログへと変遷しましたが、基本的には誰に読まれるでもない、絶海の孤島で独り黙々と石板を掘り続けている感じでした。以前も書いたとおり、Twitterにより島と島の間に航路が出来て、ブロガーとしての活動が広がっていくことになりました。

Twitterへの感謝の意半分、ブルーバッジを付けてみたかったスケベ心半分でTwitter Blueをサブスクライブした話

僕にとって、このブログメディアは何人にも犯されざる聖域あり、かつてhtmlをゼロから書いて作り上げたホームページでもそうだったように「石板を刻み続け、同好の士との出会いを望む」場であるわけです。沢山読まれたいとか儲けたいとかってのは、二の次三の次なわけです。

自分のメディアを作るということ

自分のメディアを作っていくということをもう少し掘り下げてみると次のようなことではないかと思います。

  • 売り上げの為に書きたくもないことを書かない
  • 自分の言いたいことを書き、好きなモノだけを配置する
  • 自分のメディアをわざわざ読んでくれる人に向けて発信する

例えば、「個人ブログ」或いは「自分のブログメディア」というものは、いわゆる「アフィリエイトブログ」とは異なります。

自分のメディアたる個人ブログは、言いたいことを読者に伝えることを目的にしている場であるのに対し、アフィリエイトブログはアフィリエイトの売り上げを最大化することを目的にしています。

倉下さんが仰られていた通り、メディアとはMediumであり情報の発信者と受信者の間をつなぐものであるわけです。そういう意味で「個人が自分の言いたい事を書く」ことは個人メディアの成立条件であり、自分が言いたいことでないことを発信するのはメディアというよりCMではなかろうかと思うわけです。

また、自分のメディアを持つというのは、自分のメディアをわざわざ読みたいと思う人に向けて発信することでもあります。日経電子版を読む人が経済に興味があるように、私のブログを読む人はライフハックに興味があるわけで、そうでない人に読まれなかったからと言って残念に思う必要は全くないわけです。

この10年間の僕らの怠慢

時系列順に並べるということに慣れすぎていた

基本的に、ブログのトップページというのは、最新の記事が10個〜20個並んでいるという形が多いです。うちのブログにある約1000記事のバックナンバーにアクセスする為の導線はそれほど多くはありません。

多くの場合、ブログ記事というのはニュース記事と同じように、更新直後に一度読まれると「Google検索」以外の方法でアクセスされることが殆ど無くなります。また消費のされ方としてもニュース記事同様に一度読んだら次の日には忘れられてしまう運命にあるように思います。

そんなブログの在り方に疑問を抱くこともなく、過去のブログ記事への導線をきっちり整備して来なかった事で、或いは過去記事への導線を「Google検索」任せにしてしまったことで、個人ブログはかなり苦しい状況に追いやられてしまうことになってしまいました。

Google検索のハックをGoogleが閉め出した

Googleの「検索品質評価ガイドライン」に提示されているとおり、現在GoogleはE-A-T(Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、 Trustworthiness(信頼性))を重視して検索結果を表示しています。

現在の状況はかつて、Googleの表示順序のアルゴリズムを逆手に取った対策を施した「信頼できない情報」が検索上位を埋め尽くしたことに対し、Google側がメディア(ドメイン)の専門性や権威性を評価するようにアルゴリズムを改変したという経緯があります。

結果として、企業サイトや有名サイトが相対的に強くなり、個人ブログの様な権威性がないメディアは相対的に弱くなりました。私のブログも検索流入が大幅に落ち込みましたし、多くのブロガーから一様に「Google検索の順位が落ちた」という声が上がっていました。

しかしながら、最新の「検索品質評価ガイドライン」では更にE (Experience(経験))をもう一つ足したE-E-A-Tが提示されており、経験を元にした記事が書かれることが多い個人ブログの相対評価が高まるのではないかとも言われています。

リンクを自分で作ること

いずれにせよ、過去記事へのインデックスをGoogle検索任せにしてしまっているというのは、大きな反省点であったかと思います。今後個人ブログの優先度は改善されるかも知れませんが、自分のブログ内で過去記事への導線を作っておくに越したことはないと思います。

まだ形式は思案中ですが、過去記事のリライトと併せてカテゴリやタグの整備を行いつつ、もう少し普通のウェブサイトのように過去ログへのナビゲーションを構造化できないかを思案中です。

加えて、昔のウェブサイトには必ずあったリンク集なんかも整備していきたいと思いました。自分のブログに興味を持った人はきっと、僕が興味をもっているブログやウェブサイトに興味があるんじゃないかなと。

そうやって、Google任せにしていたリンク作りを自分の手で行なっていくことで、あるいはそういう動きが広がることで、Googleのアルゴリズムに委ねられていた情報への到達性を、多少なりとも自分たちの手に取り戻せるのではないかと思っています。

今個人がブログを書く意義

正直、「有名になりたい・儲けたい」といった目的で「独立したブログメディア」を作るのはあまり得策ではないと考えています。理由としては

  • Youtubeやnoteといったコンテンツプラットフォームにユーザが集まっている
  • GoogleのPandaアップデートで個人ブログの優先度が全体的に低下した

勿論、今でも個人ブログでフリーランスでやられている方、十分な収益をあげられている方もいらっしゃいますが、新しくゼロスタートではじめる場合は、それなりの期間あまり読んで貰えないことを覚悟する必要がありますし、読まれるようになる保証もありません。

この十数年の間に、多くのブログが現れては消えてきました。皆が皆「有名になりたい・儲けたい」を目的にしていたわけではないと思いますが、今のブログが於かれている状況はそういった層を淘汰してしまいました。

逆の言い方をすれば、それでもブログを書き続けている人というのは

  • 自分の言いたいことがあってそれを発信し続ける
  • 自分の作り上げてきたメディアに誇りを持っている

人が多いように思います。こういうブロガーになりたいと思われる方であれば、「独立したブログメディア」は依然良い選択肢になるんじゃないかと思います。

そりゃ、多くの人に読まれたいですし、収益が多くなるに越したことはありませんが、 それを目的にしてしまえば、そうならなかった時に失望し、嫌になってしまいます。「有名になりたい・儲けたい」という目的の善し悪しの問題ではなく、そういう目的であれば「独立したブログメディア」よりもプラットフォームに行く方が目的に合致するのではないかと思います。

さいごに

私自身、ブログを書き始めたことによって多くの人と繋がり、勉強会の主宰や出版など、多くの得難い経験をさせてもらいました。今もこうやって様々な形で情報発信を行い、少なくない方々に読んでいただいたり、ご視聴頂けている事が本当にありがたいことだと感じています。

確かにかつてのブログブームのような盛り上がりはありませんし、PV数も収益もえらく落ち込みました。それでも未だブログを書き続けてきたことによって予想だにしなかった出来事だったり、記事を読んでくださる読者の皆様がいるわけで、それだけでもう書き続けてきて良かったなと思わずにはおれません。

ブログブームが終わった今だからこそ、私は敢えてブログでの情報発信に拘っていきたいと思っています。というのも、今ブログを書き続けている人や、これから敢えて書きたいと思う人はきっと「言いたいことがある」人達で、これからが真の意味で「個人ブログ」の時代になってもっと面白くなる予感があるからです。僕もその中で「好きなこと」「言いたいこと」を叫びまくって、面白い時代を作るのに一役買えればこの上ない幸せだと思うのです。

ちなみに、今回の対談は以下の私の記事に対する倉下さんの言及記事記事を発端としています。

最近良き個人ブログと出会えなくなったので、僕が購読しているブログを紹介するから、是非あなたのお薦めを教えて頂きたい

こういった相互作用というか、誰かが起こしたアクションが次の創造を生み出す連鎖もまた、個人が情報発信をする醍醐味の一つでもあります。

そもそも、あの対談もこの記事も、倉下さんや私がブログを書いていなければ存在しなかったわけですから、もうこの事実だけでも個人がブログで情報発信をする意義があるんじなかろうかと私は強く思うわけです。


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