2015年2月に「200冊以上聴いてきた僕が「オーディオブックBEST20」をお奨めするよ! 」という記事を書きました。
今回はこれのアップデート記事の位置づけです。
この1年半の間にMediaMarkerで補足できる限りで80冊(セットものを分解すると100冊)のオーディオブックを聴いてきたので、多分、300冊ぐらいはオーディオブックを聴いてきた計算になります。
欲しいと思ったオーディオブックがあるとすぐに買ってしまうので、気がついたら購入した作品だけで450を越えてしまいました。(幾ら使ったか考えるだけで恐ろしい。。)
オーディオブックでもかなりの積ん読を発生させている状況です。2012年ごろまでは聴きたい作品の方が少なかったことを考えると、嬉しい悲鳴というべきでしょうか。
前回も20冊に絞るのに相当苦労したんですが、今回は既に選出済みのBEST20から多くの作品を脱落させる必要があり・・・断腸の思いで作品を選別しました。
BEST30にしようかとも思ったのですが、僕自身が悩み抜いた渾身のBEST20をお送りする方が、きっとブログを読んで下さる皆様にとって有益な情報になるだろうと思い、BEST20のままとしました。
オーディオブックに興味が有る方、どうせ買うなら「間違いない」ものを買いたいとお思いの方、ここに紹介した作品はどれも自信を持ってお奨めできるものなので、是非是非参考にして頂ければと思います。(記事末尾に書籍へのリンクも付けておきました。)
■経済・経営学的な5冊
Paypalマフィアの首領たるピーター・ティールの非凡さがよく分かる一冊で有り、リーン・スタートアップを結構な勢いで扱き下ろしたりする刺激的な一冊です。
ビジョン大事、チームビルディング大事、営業大事、上手くセグメントを区切ってそうと分からないように独占せよ、等々ある種当たり前の事が書かれているのですが、その端々に僕らが思い描く「スタートアップってこうだよな」という思い込みを良い意味で否定する文章が続きます。
スタートアップ企業で働く人でなくても、新規事業開発や会社の経営戦略を立てる役割にある人にとって、本書に書かれるティールの考え方はとても参考になると思います。
ドラッカーから学びたいと思っている人は、このオーディオブックは絶対セットで買うべきと断言できます。(むちゃくちゃ高いですがその価値はあります)
「P・F・ドラッカー経営論」は紙だと800P弱の大著なので、これを音声で繰り返し聴けるってのは素晴らし過ぎる!
1950年代から現代までのドラッカーの主張の変遷を辿ってみると、彼が如何に慧眼をもっているかを思い知らされ、また彼が日本企業・日本経済というものに如何に興味を持っていたかということがよく分かります。
内容に学ぶことも多いが、学ぶことそれ自体が時代を見通す力を養うことを示してくれる勇気の書でもあります。
本書の文体はオーディオブックにかなり向いてる気がする。ナレーターの矢島さん ( @yajima_sinkan )の読み方もすごくしっくりきてる。
なかなかボリューミーだったが、KSFとかPPMなど、ある意味で現代経営学ではお馴染みのツールは現代でも役立つし、大前氏の所謂”戦略思考”が1970年代ごろのケーススタディをふんだんに用いながら思考プロセスと共に学べるのは大変に良かった。
かなり古い本だし、僕自身新入社員の頃(10年前)に一度ぱらっと見たことがあった程度なので「きっと陳腐化してる部分も多いのだろう」と思って読んだところ、驚く程にすみずみまで「使える」内容であったことに驚いた。
むしろ、当時はまったく実感もわかず、書いてある内容もちんぷんかんぷんだったのだけど、時を経て自らグループの戦略を策定したり打ち手を考える立場になり、自分自身が上位者にとって参謀的に用いられることが多くなったことで、この本への共感を覚えると共に、書かれている内容が「凄く参考になる」と感じられるようになった。
本書を記した若かりし日の大前研一氏と同世代な今の自分。その差に驚嘆せずにはおれないが、同時にこの本に書かれている内容を理解でき、実践でき、その内いくらかは知ってか知らずか日々の仕事に活かせている事は、大変な自信になる。
貨幣の起こりから入って、サブプライムローン問題やギリシャ危機までの経済史上の出来事を、世界史と絡めながら説明していきます。
テンプル騎士団がキャッシュカードの起こりだとか、旧約聖書で「同胞から利子を取ってはいけない」という教えがあって、それがイスラム教世界に影響を与えているとか、高橋是清が世界恐慌を財政出動で克服した後、緊縮財政策に転じて軍部の恨みを買い二・二六事件で暗殺されたとか、備中松山藩の藩政改革が明治維新前後の財政に大きく影響を与えたとか、色んな逸話があって、それらを聴くだけでも凄く楽しい。
更に、ナポレオン戦争や南北戦争から二度の世界大戦を経て戦後のブレトンウッズ体制、プラザ合意、世界金融危機、ギリシャ危機までの出来事が、銀本位制、金本位制、金本位制の廃止という大きな流れと、自由主義と保護主義という大きな枠組みで一つに繋がっていくそのダイナミズムに感動すら覚えます。
世界恐慌や不況、或いはデフレやインフレ、更には財政危機に対して、ケインズ主義や新自由主義がどの様に用いられ、それぞれの時代背景や組み合わせによって、どういう結果がもたらされたかといったまとめや、それを元にした黒田バズーカやアベノミクスへの考察は中々に興味深かったです。
今まで自分の中で点で持っていた世界史の知識と経済の知識が、本書のおかげで線として繋がりましたし、益々世界史と経済の両方に興味を抱けるようになりました。タメになった以上に、凄く面白かったというのが率直な感想。
教養を身に付けたい人、経済動向から投資を判断するための経済リテラシーを身に付けたい人、社会科系のお話が好きな人にはかなりオススメの本だと思います。
いわゆるメイカーズムーブメントの火付けとなった一冊。
この本を読んで無性に3Dプリンターが欲しくなったのは秘密。オープンソースという人類最大の発明の偉大さを知ることもできるし、オープンイノベーションに血湧き肉躍ること間違いなし。
レッツメイカーズ!
■自己啓発的な4冊
7つの習慣は完訳版じゃない方で繰り返し読んだり聞いたりしてたんですが、完訳版も違和感なく聞けました。7つの習慣を繰り返し聴きこめるオーディオブックは是々非々でお奨めです。
ちなみに、以前の様なキャッチーに繰り出される、聞き慣れないキーワードにありがちな”かっこよさ”が無くなったのはちょっと残念。川西さんとジェームス・スキナーさんのセンスは結構好きだったのよね。
私の目標管理、時間管理のバイブルです。
この本を何度も読み込んで、フランクリン・プランナーに向かい合った日々のおかげで、随分と人生が変わった様に思います。フランクリン・プランナーは使わなくなりましたが、本書の内容は今でも僕の時間管理術の基礎になっています。
この小さな嘘をついて自分自身に時間がないと思わせていることがなんと多いことだろう。「時間がない」と思う事によって大切なことをやり残してしまうことがなんと多いことだろうか。
この文章にギクリとした人は本書を読むことをお奨めします。
古典的名著、自助論を座右の書にしている人は少なくないと思います。
”天は自らを助く者を助く”という普遍の真理に従い、自分はどう在るべきかを学べる珠玉の一冊です。
日本の道徳教育の基礎をなす”武士道”とは何かを知りたくて手に取った本(そして、オーディオブック版も発売直後に購入)。我々昭和世代からすれば、新渡戸稲造といえば何やったかわからんけど、5000円札の肖像の人という感じだったけど、本書を読んで「この人は偉大だ」とはじめて分かった。
武士道というのは、宗教に依存することなく醸造された”日本人の精神”を日本人ではない第3者に紹介するために付けられたラベリングである。
卑怯なことは悪いこと、忠義は重んじること、自慢や傲慢は慎み謙虚であること、など日本人が大切にする価値観と、何故それらの思想が育まれたかが述べられている。
自己の道徳を高めたり、日本人という種族を客観的に眺めてみたり、色々な用途で使える素晴らしい作品だと思います。
■知的生産な1冊
新聞というメディアについて考えさせられる本。ネットニュースがあればいい、というのは速報性の観点から言えばYesかもしれないが、取材と物書きのプロ達が世の中の出来事を社会、経済、政治、文化と多岐にわたってコンパクトにまとめているというのはやっぱり凄い事なのだと思う。
仮に自分がそれだけの事を調査しようとすれば、かなりの時間が掛かるし、情報を整理しきれるか、分かりやすく切り取れるかは甚だ疑問である。そういうのに長けた人々が、自分の代わりに1日分の情報を集めて分かりやすくまとめてくれていると思うと、月4000円程度の出費というのはやはり安いのかもしれない。
この本はそういう事に長けた人である筆者が「知的生産」を行う為の情報収集、整理、考え方、アウトプットについて丁寧に事例を交えて述べてくれる良書である。何より、筆者自身の日本語がとても美しいので、人に読ませる文章とはこういう文章なのだなと、痛感させられる。
筆者が原稿をパソコンで打ってから鉛筆で清書するという下りがある。子供の頃から「形から入る」ことに対して、どこか実が伴っていないことを揶揄するような意味合いを感じていたが、今大人になって思う事は「形から入る」こと、あるいは「型を作ること」の効果は計り知れないということ。
五郎丸選手のルーティンやイチロー選手のカレー(今は違うらしいけど)など、パフォーマンスを出す為の「いつもの形」を作り出しておくことで、意図的にスイッチを入れることができるようになる。効率性だけを考えれば不必要、無駄に思える儀式も、パフォーマンスを出す為には必要な要素であったりする。
本書を読むことで、ごく自然に日常的な情報収集・整理・アウトプットができるだけの知識を得ることができるだろう。筆者はプロの物書きであるが、本書に書かれている内容は物書きのテクニックというよりも、プロフェッショナルとして身に付けておきたい情報リテラシである様に思う。あらゆる職業の人にお奨めしたい。
■語学力アップな1冊
今までの自分の英語学習が如何に間違ってたかを教えてくれる一冊です。結構な衝撃具合だったので
とりあえず、動画見て、もっと英語とイメージを括り付けようと思った次第です。
■ストーリーで学べる4冊
仕事は楽しいかね?がオーディオブックになると聴いた時小躍りしたことを覚えています。レコードやテープならすり切れるんじゃないかって程聴きこみました。
マックス・エルモアは架空の人物かも知れませんが、彼は間違いなく僕の人生の師の1人です。
”試してみることに失敗はない”という言葉に何度救われたか分かりません。僕は何度も失敗してきましたが、それでもコイン投げをつづける勇気を失わなかったのは、彼のおかげだと思っています。
また、「完璧以上に素晴らしい」仕事を目指すことを教えてくれたのも彼でした。
自分の夢に対するアプローチ、そして仕事に対するスタンスを形作ってくれた「出会えて良かった」と思える本です。
やはりオーディオブックと相性が良い本です。
聴く度に、
くそ!!また泣かされたやんけ!!
となって、3作全部きっちり泣かされました。
正直、面白いし、良い話やと思います。中身も良いと思うけど、狙って面白いのと、狙って感動させられるってところが流石水野敬也氏やと思います。
このシリーズは所謂自己啓発と成功法則系の面白読み物なんだけど、1作目が「人として」2作目が「お金」3作目は「働くということ」がそれぞれメイントピックスになっています。
これまで自己啓発本に触れてきた人なら、基本的にどっかで聴いたことのある「教え」と出会うことになるのですが、その度に気づくのが「これ、知ってるけど、全然実践できてへんわー」ってな自分の出来てなさ具合です。
でも、僕は思うわけです。読んで、やってみて、気がついたらやらんくなってても、また何かのキッカケで思い出して、もっかいやればええやんって。その為に、ガネーシャ活用したらええやんって。
この本は、言うなれば自己啓発を題材にしたパロディ小説・・もう少しよく言えば、喜劇小説なわけです。確かに自己啓発の古典を読みとけば、より深く、より理論的体系的に知識を得ることができると思います。
でも、この本の良い点は「現代人のあるあるな悩み」を「面白くて感動的なストーリー」で学べるところにあります。しかも「色んな古典からつまみ食い」をしている。この切り口や軽快さは古典には求めるべくもないわけで、僕はこの本の原点たる古典は読むべきだと思うけど、だからといってこの本の存在価値は決して無くなるモノでは無いと思います。
3冊目とも期待を裏切りません。面白おかしく自己啓発を学びたい人は、絶対買いの一冊ですよ!
経営参謀・戦略参謀は文句なしにオーディオブックで聞くべきストーリー形式のビジネス書です。
作品の世界に没頭しながら経営戦略を学べます。書かれている内容は結構泥臭かったりするので、経営戦略と言いつつも、現場サイドでのカイゼンに使えそうなネタと出会える確立たかしです。
喜多川先生の本は総じてオーディオブックとの親和性が高いです。
本書では所謂自己啓発書っぽく「ライフリストを作れ」「コンプレックスを個性に変えろ」「手段(職業)を目的化するな」といった成功法則がハルカというヒロインを通して伝えられます。
しかし、そんなことより凄いのが兎に角「今を精一杯生きて欲しい!」という筆者の想いが痛いほど伝わってきて、ただひたすらに心が揺さぶられ続けるところです。それは読者に対して涙を誘うような姿勢で書かれた文章ではなく、真摯に読者に向き合って書かれたものだからなのだと思います。
感動のあまり涙する物語である上、人生に於いて大切な事を思い出させてくれる一冊です。
■心理学・脳科学な2冊
嫌われる勇気は、文字だと読むのに中々骨が折れる本だったりしますが、オーディオブックだと不思議とすっと入ってきます。対話形式の本というのは、オーディオブックと相性が良いのかもしれません。
劇薬とも称されるアドラーの教えは、悩みを持つ私たちの考え方を、良くも悪くも大きく揺さぶります。最初は読むの(聴くの)が辛いと思いますが、真に悩みと対峙できるようになるため、是非本書を読み進めて下さい。
意思力とは持って生まれた才能ではなく、努力で獲得できる能力である。そう思えるだけで、僕の様な意志薄弱な人間はどれ程救われただろう。
大ベストセラーとなった本書は、様々な心理学的解説を織り交ぜて、意思力とは何で、どうすればそれを鍛える事ができるかが豊富な研究成果と共に紹介されています。
超ウルトラCな裏技は書かれておらず、紹介されていることも恐らく「知っている」ことが大半だと思います。しかし、脳のメカニズムを知ることで、”どうすれば良いのか分かっているのに、何故か失敗する事柄”に対する、今までと違ったアプローチが見えてくるかもしれません。
今度こそ”変わりたい”あなたにお奨めの一冊です。(お奨めは本で読んで、オーディオブックで聴き込むアプローチですが・・)
■憧れの人と出会える1冊
石川島(後に石川島播磨)重工業、東芝のトップとして辣腕を振るい、経団連会長、臨時行政調査会会長など日本経済及び日本政府の財政の立て直しに東奔西走したメザシの土光さんの名言集です。
ひと言で言えば、無私無欲の人であり、最低限生活が出来るお金だけを手元に残しては、残りを全て母親が設立し、自身が引き継いだ橘学苑に全て寄付していたという。常に現場で働く人を最も尊重するという姿勢を取り続け、社長時代も現場からは「親父親父」と慕われたそうです。その上、政治との癒着を嫌い、経団連会長時代も政治家からは常に距離を置いていた。
正直、土光敏夫という人物が、経団連会長でありながら、実に質素な生活を送っていたということぐらいしか知らなかったのだけど・・もう、知れば知るほど土光敏夫のファンになっていってしまいました。
人はこれ程までに崇高な人になれるのだろうか、と途方にくれたくなるほどに崇高な生き方をしているわけです。そこで語られる言葉は、正論中の正論で、時に「正論だけでは物事は通らない」と人が正論を通すことを諦めるような場面でも、土光さんは正論を馬鹿正直に語るのです。
僕は到底、土光さんの様には生きられないだろうけど、それでも少しでもそちらに近づけたらいいなと思う次第です。
■心揺さぶられる2冊
この小説そのものも面白いけど、声優陣が本当に豪華でどっぷりとその世界観にハマります。
幾度と無く窮地に追い込まれ、その度それらを乗り越えていく様に胸が熱くなること請け合い。
心に熱いエネルギーをともしたいときに聴くと良い名オーディオブック!
メグカナ世代の幻の日本代表、横山友美佳さん。
いわゆる手記なので、かなり赤裸々に心情が書かれており、病に負けまい、何としても生きたいとする強い気持ちと、何故自分がという葛藤の両方が、ダイレクトに表現されています。
色々な方向に感情が揺さぶられ、涙が自然と湧き溢れてくるので、このオーディオブックは外出しているときに聞くのは避けた方が良いかもしれません。(僕は電車の中で不覚にも号泣しました)
■最後に
ちなみに、今回紹介したBEST20はfebe上のブックリストという形でもまとめています。
今回は総合的に見たお奨めオーディオブックでしたが、今後色々な切り口でお奨めのオーディオブックをまとめて行こうと思うので、febeユーザな方で、僕のお奨めを知りたいという奇特な方は、是非febe上のブックリストをフォローしてみて下さい。
書籍のリンクも以下に掲載しておきます。
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