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書評ー「お金の流れが変わった!」

実はbeckは大前研一氏の大ファンだったりする。

最近はあまり著者の一本釣りはしなくなったのだけど、ビジネス書を読み出した頃には大前氏の本を好んで読んでいた。読み手をぐっと引き込む文章力と、理路整然とした論理展開、数値やデータを多用した根拠ある内容、聞いたこともないような世界各地の様相など、実に読んでいて楽しく、ハッとさせられるところが多い。

今回紹介するのは、レビュープラスさんから献本頂いた大前研一氏著「お金の流れが変わった!」である。

■リーマンショック前後の世界経済を一望できる書

本書はリーマンショック前後の世界経済をダイナミックに切り取っており、サブプライムローンが如何にして生まれたかという経緯まできっちり説明してくれている。また、リーマンショック後のアメリカ、中国、ヨーロッパなどの分析を行った上で、次に台頭するであろう新興国にフォーカスして各国の状況を説明してくれている。その他、現在の民主党政権の分析や、日本が今後取るべき戦略などもあり、新書としてはかなり盛りだくさんの内容で非常に読み応えがあった。

■僕ら普通の人が世界経済の情勢を識るべき理由

特に氏が述べる「ホームレス・マネー」の存在や今後伸びるであろう新興国「VITAMIN」など、新たな概念として取り入れておいて損はない。また、1997年のアジア通貨危機やリーマンショック後のユーロ暴落などの背景に何があったか、世界の金融市場はどういう原理で動き、どういう原理で危機を迎えているのかを知っておくことは株やFXをやらない人であっても知っておくべきである。

僕らの知らないところでウォールストリートのエリート達が勝手に金儲けをしている時代ではなく、現に僕らの生活に多大な影響を与えるところまできてしまった世界の金融情勢について知らないことは決して賢明ではないのだ。少なくとも、口八丁手八丁で金融商品を売り込む輩(国も含む)から資産を守れるのは自分しかいないのだから。

■沈み行く日本のこれからを考えよう

最近の大前氏の本の特徴的なところでもあるのだけど、氏の本を読んでいると嫌が応にも沈み行く日本の現状を認識させられる。別に世界で1番になる必要もないし、GDPが中国に抜かれたとか、一人頭のGDPが1995年の世界1位から現在25位まで順位を下げたとか、そういうこともそれほどナーバスに考える必要はないと思う。

しかし、税金や保険料は上がるというのに高齢者の負担は増え、年金は減り、保険の自己負担率は向上している。出生率は上がる気配もないし、デフレ基調も止まらないし、なんなら給料だって思うようには上がらない。今年も民主党は44兆円の国債を発行するという。この状況から目をそらすのは簡単だが、この問題に取り組まなければ僕らの未来は確実に暗いものとなる。

この本は世界経済の一望ができると共に、今の日本がどういう状況かを教えてくれる。そして、大前氏の案ではあるが、どうすればこの状況を打開できるかについても述べてくれている。氏の意見に賛成するしないはともかくとして、僕らがこの国の将来を考え、今後どう行動すべきかを検討するための材料はこの本に揃っている。是非一度、この沈み行く国についてゆっくり考えてみて貰いたい。

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